ベニスに死す(1971年 イタリア)
監督:ルキノ・ヴィスコンティ

挫折し、病を患った有名作曲家が旅先のベニスで、あまりにも美しすぎる少年と出会ったことにより、それまで確信していた自分の美の定義が狂い、魅せられ、朽ちていく様を描いた作品。

ルキノ・ヴィスコンティ自身が探し、発見が奇跡だったと言わしめた少年、タジオを演じるビョルン・アンドレセン。
男性、女性という小さな枠を超えた自然発生的な美の象徴に虜になった作曲家の気持ちは、年老いていく毎に理解していけるものなのかもしれません。恐らく、若者たちに観せると、タジオは綺麗でも、ただのストーカーの気持ち悪い話にしか見えないかもしれません。
神々しいものに近寄ることもできず、ただただ憧れ、魅せられ、後をつけることしかできない芸術家の美への敗北感はあまりにも大きく、脅迫的な、時に悪意的な微笑みに握りつぶされてしまったのです。
恐るべし・・・


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