レスラー (2008年 アメリカ)
監督:ダーレン・アロノフスキー


ミッキーロークの起死回生の一本。
過去の人気レスラーと、ミッキーローク自身が

そのままダブってしまいます。


80年代の人気レスラーのランディ・ロビンソンは、過去の栄光、

人気により今も現役を続けているが、年齢的にも無理があり、

実際にはスーパーでアルバイトをしながら、トレーラーに住み、

細々と地方興行で生活しているというのが実情。
ただ、リングにあがる時だけは、レスラー仲間にも尊敬され、

常に観客を魅了する。
ある日、長年のステロイド使用により、心臓発作で倒れ、
引退を余儀なくされるが、実生活の対応への不安から、
付き合いのある年増のストリッパーに相談したり、長年疎遠

だった娘と連絡をとって関係修復を図ろうとするが、その

不器用さからうまく対応できない始末。
そしてついに引退興行の日がやってくる・・・・


レスラーという職業は過酷である。格闘技と違うので、相手の技を
受けないと話が始まらない。受けて、受けて、観客を引き込み、
そして観客の応援を受けながら、勝たなければいけない。
受ける限りは、体が痛み、下手なレスラーとすると大怪我もする。
それでも、試合を続け、観客を魅了する。
シナリオがあるプロレスもあれば、爆弾が破裂するプロレスもある。
スポーツマンシップに則ったプロレスも、凶器攻撃も、何でもありが

プロレスである。この映画の中でも相手レスラーと打ち合わせを

したりするシーンがあるが、それを八百長と呼ぶかどうかが、

プロレスをわかっているか否かにつながる。


もともと反プロレス派だった僕は、一人のプロレスラーに出会い、
考え方を大きく変えた。鼻の骨を折っても、肩を脱臼しても
あごを縫っても、試合を休まず、相手に立ち向かう姿は、
八百長とか、エンターティメントとかいった中傷を軽く超える。
相手の技を全て受けきって、必殺技で勝つ、その姿は永遠だ。

この映画の上映前に、無念にも試合で亡くなってしまいましたが、
そういう彼の姿をも写して観ると、この映画はプロレスラーのすごさ、
覚悟を非常に上手く伝えている、と思う。


永六輔が言ってました、「プロレスは真剣勝負かショーという論争は

問題外、言うなれば命を 懸けたショーである」と。


ミッキーロークのことはこの前ブログに書いたので割愛しますが、

マリサ・トメイも体を張ってがんばっていました。昔から好きな

女優さんです。あと、この監督、ブラックスワンの監督さんだったのですね、

急に観たくなりました。