20日、元内閣官房副長官補の柳澤協二氏(元・防衛庁官房長、防衛研究所長)を講師に迎えて「安倍政権と集団的自衛権―迷走する集団的自衛権と日本の安全保障・民主主義」と題する講演会をシンフォニア岩国で開催しました。講演会には、300人を超える方々が参加され、柳澤氏の興味深いお話に聞き入っておられました。
以下は、講演会での柳澤氏のお話及びその後の懇親会での柳澤氏と私との会話の中で、私が皆さんにお伝えしたい部分を抽出したものです(文責:平岡秀夫)。
1、集団的自衛権について
(なぜ今「集団的自衛権」か?)
【柳澤】安倍晋三と岡崎久彦(元駐タイ日本国大使)との著書「この国を守る決意」(2004年)の中で、「日米安保条約を堂々たる双務性にしていく」「軍事同盟は『血の同盟』、米国が攻撃された時に血を流さなければ完全なイコール・パートナーとは言えない」と言っている。安倍首相の主張は、論理ではなく、岸・元総理の60年安保での双務性を意識した「情念」に由来するものだ。安倍首相の説明には論理性がなく、今や、迷走状態だ。
(集団的自衛権のウソ)
【柳澤】安倍首相は「友達が暴漢に襲われたとき、友達を助けなくていいのか?」との例えを持ち出す。しかし、本当の友達なら危険を避けるように忠告をするだろうし、なぜ友達が危険な道に入り込んだのかも考えなければならない。国と国との国際関係ならなお更そうだ。ただ、こうした説明は一言では済まず時間がかかるので、なかなか皆さんに聞いてもらえないのが残念だ。
(安倍政権の異常さ)
【柳澤】安倍政権の高官(政治家)に、「柳澤さんは、自民党政権時代に安全保障・防衛政策を担当する政府高官であったのに、なぜ、安倍政権の安全保障政策に異論を唱えるのか。」と言われるが、「自分(柳澤)は、歴代自民党政権で確立されてきた考え方を主張しているのであって、安倍自民党政権の方が従来とは違う右傾化路線に偏ってきているに過ぎない。」と答えている。
2、沖縄の普天間基地移設について
【柳澤】「抑止力維持のために沖縄に海兵隊基地(普天間基地等)が必要である」という説明はウソだ。実際、防衛省は、普天間基地移設工事期間中(5年間程度)はオスプレイを佐賀空港に移駐させる提案をしたではないか。普天間基地の県外移設の軍事的条件は既にある。沖縄県民の利益のためにそれを実現するのが、政治の役割である。
民主党政権(鳩山内閣)の岡田克也外相から「普天間基地移設問題を担当するため、もう一度役所勤務をしてくれ」と頼まれたが、お断りした経緯がある。
【平岡】その当時、岡田外相とそんな経緯があったことは知らなかった。もし知っていたら、私が柳澤さんにしつこく頼んだのに、本当に残念だ。
3、岩国市庁舎の建替え補助金カットについて
【平岡】柳澤さんは、防衛省で「守屋天皇」と呼ばれ2003年から4年間事務次官を務めた守屋武昌氏とはどのような関係にあったのか。また、守屋事務次官(当時)が推し進めた「岩国市庁舎建替え補助金カット」(注)の手法についてどのように考えていたのか。
(注)2005年に日米で基本合意された在日米軍再編で、厚木基地の空母艦載機59機を岩国基地に移駐させることとしたが、それに異論を唱える岩国市(当時、井原勝介市長)に対し、当時の自公政権は、既に建替えが始まっていた岩国市庁舎の補助金45億円のうち残り35億円をカットした。私(平岡)は、この手法に対し、2011年12月の衆・予算委員会で、法務大臣として「空母艦載機の移駐の問題について、岩国市に対して、当時建設中であった岩国市庁舎の補助金45億円を無理やりカットするという暴挙に出たのは一体どちらの政権だったんでしょうか。」と答弁し、委員会が紛糾したことがあった。
【柳澤】守屋氏は、年齢は私(柳澤)より3歳上だったが、防衛庁入庁年次は私の方が1年上だった。守屋氏が事務次官に就任した時には、役所の慣例により入庁年次が上のものは退職することになっていたが、当時の石破防衛庁長官の配慮で、防衛研究所長として役所に留まった。「岩国市庁舎建替え補助金カット」のような手法は、あってはならない手法だと思っていた。
(了)