参院選遊説のため沖縄県入りしていた安倍首相が、本日、同県の石垣島、宮古島を訪問した。現職の首相の石垣島訪問は、1972年に沖縄県が本土復帰して以降初めてのことだそうだ。



安倍首相は、石垣島では、海上保安部で職員に対し「私も先頭に立って我が国の領土・領海・領空を断固として守り抜く決意だ」と述べ、街頭演説において「尖閣は間違いなく、歴史的にも国際法的にも日本固有の領土。一歩たりとも譲歩する考えはない」と強調。



この安倍首相の言動をどう評価すべきであろうか。ここで、昨年8月の韓国の李明博大統領の竹島訪問を思い起こしてみてはどうか。竹島は、日本がその領有権を主張しているが、現在は韓国が竹島を実効支配してiいる。そんな中で、韓国の大統領が竹島を訪問することにどんな意義があったのか。



当時、李大統領は、色々な問題で韓国国内での求心力が失われつつあって、人気回復のために竹島を訪問したと批判されていた。国内での人気回復のために領土問題を持ち出すことの問題点は、多くの有識者が指摘したところだ。日本国内での反発も大きかった。



尖閣諸島は、中国等もその領有権を主張しているが、現在は日本が実効支配しており、日本の首相が尖閣諸島の最近辺にある石垣島を訪問して尖閣問題を訴えることにどんな意義があるのであろうか。



どの政党も尖閣諸島について我が国の領有権を主張している状況下での安倍首相のこの言動は、結局、李大統領と同様に、参議院選挙対策として人気取りをしようとしているとしか言いようがない。「人の振り見て、わが振り直せ」の諺が思い起こされる。