心が脳の活動を変える | 群馬県・桐生 仁盛堂漢方薬局の一日(中医学基礎)

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 中医学でも「脳」と「心」の関係を明確に

出来ていません。

「医学衷中参西録」のなかで、心と脳の相補に

よって「思」ができたことがわかり、脳から心に

いたるまで神明が貫徹普照している。」といって

います。

 今回紹介する本の見出しには

 「・・・・脳の実態と特性を最新の研究成果を

 ふまえて解説。心とはなにか、人間とは何か

 に迫る」とあります。

 

 一番興味を引いた部分を引用します。

心が脳の活動を変える

「脳の活動が心を生んでいることは自明

である。アルコール・薬物・損傷などで脳の

活動が変われば、心も変わるからである。

逆に心が脳の活動を制御できることも

わかってきた。

これが脳を機械にたとえることができない

決定的な理由かもしれない。

制御する側である心は、同じ脳から生じて

いるにも関わらず、制限される側の脳活動

からは独立して働き得る。

機械でこのような機能を備えたものは

ない。」

この本では心を意志といっています。

 

 

まず、脳内で信号を発生して情報を伝達する

ニューロン体とは、他のニューロンに信号を送る

軸索(じくさく)、他のニューロンから信号を受け

取る樹状突起とからなる。

 

 人の脳には1000億のニューロンがあり、一つの

ニューロンが数千以上のシナプスをもっている。

 シナプスとは神経情報を出力する側と入力

される側の間に発達した情報伝達の為の

接触構造。

 

 基本的構造はシナプス前細胞の軸索末端が

シナプス後細胞の樹状突起に接触している。

 

 著者は次のように言っています。

「これまで数えきれないほどの神経回路

モデルが発表されてきた。

しかし神経回路の構造は複雑であり

そこで行き交う信号はさらに複雑である。

そのような複雑性と多様性こそが脳その

ものの機能を実現していると考えるならば

、これまでの神経回路モデルは単純化した

だけではなく、脳の重要な本質を欠いており、

その基礎的メカニズムすらしめし得ないかも

しれない。

 

 「脳の最も重要で本質的な特性が未解明

であり脳が相変わらず謎に満ちた研究対象

であること を意味している。それと同時に、

人の心がまだ不可思議な存在であることを

意味している。

 

 この本では「・・・・という説もある」

        「・・・・・するのではないか」

        「現時点では結論はでていない」

        「可能性が指摘されている」

 といった表現がよくでてきます。

 これほど未解明の部分が多いのですが、

 脳内のシナプスの状態を高解像度で撮影できる

二光子顕微鏡の登場に証明されつつあるよう

で、で研究が進んでいるようです。

上の画臓は脳細胞のニューロン以外の、

最近注目のグリア細胞です。ニューロンを

物理的に支えたり、栄養を補給したり、

老廃物を処理したりして、ニューロンの

サポートをします。それぞれの役割が最近の

研究から解ってきているようです。

 

 グリア細胞の一つアストロサイトの表面には

神経伝達物質を受け取る受容体が存在する

こともわかってきて、シナプスで放出される主な

神経伝達物質である、グルタミン酸・γアミノ酪酸

セロトニン・ノルアドレナリン・アセチルコリン・

ドーパミンなどの受容体がそろっていて、

神経伝達物質を受け取ったアストロサイトが

信号を発生し、周辺のニューロンに送っている

可能性もあるといっています。

 

 ニューロン、グリア細胞の隙間にある

細胞外スペースの間質液が脳の1/5を占めて

いて脳の広範な領域の活動を調節する

神経修飾細胞(神経伝達物質もふくまれる)が

シナプスの信号伝達に作用して、覚醒状態、

気分、やる気などを調節している可能性に

言及しています。

 

 中医学でな腎精⇔脊髄液⇔脳髄などの関係は

考えられていたので、これらのことが医学の

進歩とともに明らかになっていくと考えられます。

 

 最後に中医学では心の中に記億するのが「意」

記憶したものを実行するのが「志」といいます。

「志」をもとに反復して思考することを「思」といいいます。