暑温 気分証治「①暑温本証(暑入陽明)」  | 群馬県・桐生 仁盛堂漢方薬局の一日(中医学基礎)

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  (暑入陽明)

「形傷寒に似るも、但だ右の脈洪大にして数。左の脈反って

右より小、口渇甚だしく、面赤く、汗大いに出づる者は、


なづけて暑温と曰う。手太陰にあり。白虎湯之を主る。

脈芤甚だしき者は、白虎湯加人参湯之を主る。


 証候:壮熱・多汗・心煩・頭痛・頭暈・顔面紅潮・

     呼吸が粗い・口渇・歯の乾燥・背微悪寒・苔黄燥

     脈洪数あるいは洪大で芤。


 病機:熱が陽明の気分で盛んになる。


 治法:清暑泄熱・益気生津


 処方:白虎湯・白虎加人参湯

 

 洪脈:脈象の一つ、大脈ともいう。指下に触れる脈の感覚が

    きわめて大きな脈象である。その拍動は脈来の勢いが

   きわめて強いだけでなく、脈去も次第に減弱し、長い時間を

   かけてはじめて消失する。波濤が大きく押し寄せるような脈。


 芤脈:脈象の一つ、「芤」は葱ともいう。指下の脈来が軽取時に

    浮大にして柔らかい脈であり、やや強く押さえると脈管が

    空虚に感じられる。


「形傷寒に似るも」

これに関してはいろいろ意見があるようです。

難しいところです。


 王振坤の説が自分には一番しっくりくるので紹介します。


「病の初期は、暫くの間 ”形傷寒に似る”の証がある。即ち

”頭痛・身痛、発熱、悪寒”である。


 この時は元々銀翹散に芳香利湿解暑の品を用いるべきであり、

そうすればただちに治癒するはずである。


汗が出ない場合は新加香薷飲を用いて治療すべきである。


もし時に及んで治癒しない場合は、暑熱が津を傷るのは

最も早いので、急速に気分に侵入し熱し、白虎湯証を形成する。」


 次回は「暑耗津気」です。