湿重于熱証(湿が熱より重い証」
この証の初期は湿熱の邪が衛気を遏(とど)
めるので熱不揚(発熱はあるが体表の熱感は
軽い)、
身体が重だるい、四肢の倦怠感、胸悶、腔痞、
舌苔膩、脈緩等の証候が出現する。体質的には
脾虚のひとが多い。
邪遏(あつ)衛気
「頭痛み悪寒し、身重く疼痛し、舌白く喝せず、
脈弦細にして濡、色淡黄、胸門し飢えず、
午後身熱し、状陰虚の若く、病速かに
已え難きは、名づけて湿温という。
之を汗すれば則ち神昏(くら)み
耳聾し、甚だしければ則ち目暝(つむ)りて言うを
欲せず。
之を下せば則ち洞泄す。之を潤せば則ち病深まりて
解せず。
長夏、深秋、冬日は法を同じくす。三仁湯之を主る」
湿が衛分に鬱滞し、同時に湿が脾胃の気機を遏(とど)める。
化熱が明らかでない場合藿朴夏苓湯
化熱が明らかな場合三仁湯。
三仁湯
「組成」:杏仁・滑石・通草・白蔲仁・竹葉・厚朴・生薏仁・半夏
杏仁・竹葉:宣透
白蔲仁・厚朴・半夏:辛開苦降
生薏仁・滑石・通草・淡滲利湿
三仁湯は竹葉・滑石の作用で泄熱の作用が強く
藿朴夏苓湯は藿香・豆鼓の作用で透泄の作用が強い。
日本ではこの有名な方剤がありません。
藿香正気散を利用していくしかないようです。
藿香正気散は外寒風寒に対する薬剤なのですが、化湿和中に重点が
あります。中焦篇 湿温に藿香正気散の加減方が五つでてきます。