(引用)

そんなに情報集めてどうするの

そんなに急いで何をするの

頭はからっぽのまま

……

はたからみれば嘲笑の時代おくれ

けれども進んで選びとった時代おくれ

もっともっと遅れたい


〜「時代おくれ」(茨木のり子『倚りかからず』所収)〜


(引用終わり)


中東の戦闘が始まってから、毎日ニュースを追っていると心が掻き乱されます。こんな時こそ、落ち着いて考えなければならないのですが、日本の知識人マスコミ人は、どうしても「どちらが善で、どちらが悪で」といった単純な図式で割り切ろうとします。大きな戦争になればなるほど、事態は多面的な様相を呈しているのに、脳味噌が単純な人は「○かX」かで割り切ろうとします。受験勉強の弊害か、と勘繰ったりもします。


まして、戦争はプロパガンダの応酬です。






次元はグッと下がって、受験に関する情報はどうでしょうか。情報過多の現代では、YouTubeでも、SNSでも、溢れるばかりの「受験情報」が入手できます。中には有益な情報もあるでしょう。しかし、私の見るところ、「有益な情報」の10倍ぐらいの「どうでもいい情報」も氾濫しているように思われますが、皆さんはどう思われるでしょうか。


塾の宣伝などは、それこそ「プロパガンダ」だと言えなくもない。(笑)


戦争についても、受験についても、大切な事は自分を見失うことなく落ち着いて考える事だと思います。しかし私達は、溢れるばかりの情報を簡単に手に入れることによって、その代償として、「落ち着き」を失ったのです。


茨木のり子の詩の言葉は、情報に振り回され、自分を見失い、右往左往している人に向けて


「そんなに情報集めてどうするの」


と投げかけたものなのです。