書店の学参コーナーに、ずらりと並んだ英語の参考書の中で、分厚くて、黒い表紙で、存在感があって、『東大』と名前がついてあるもの、まさに「鉄」の「壁」のように、「この単語集を覚えられるものなら、覚えてみろ」と挑発するかのように立ちはだかっている

鉄緑会の『東大英単語熟語鉄壁』(KADOKAWA)

を通読しました。

全体の感想をまず申し上げますと、私が構え過ぎたところがあるのですが、少し、いや、かなり

拍子抜けしてしまいました。

普通の大学受験英単語熟語集です。詳しく調べてはいませんが、『システム英単語』と重なっている単語がかなりあるはずです。読んでいて、「この単語を載せるのか!」といった驚くようなものは一つもありませんでした。長年入試問題を解いてきた私には、「ああ、これぐらいは覚えとかないとな」というレベルのものばかりでした。(注、こちらは『システム英単語』と違い熟語も入っています)

こう書くと何か偉そうに響くので、何か比較するものを、手元にある本の中から選びます。イッチー先生の『英検準1級100時間大特訓』(ベレ出版)の17ページに

「中上級(5.5[6]千語〜8千語超水準語彙)ー英検準1級~英検1級合格レベル」

という単語一覧が挙げられていますが(要は準1級合格レベルということですね)、そこの最初のabbreviate,afflict,amicable,apprentice,bizarre,bleak,calamity,capsize,catastrophe,commemorate,commence,cmmendable
計12語のうち

『鉄壁』に載っていたのは、afflictとcatastropheの2語だけで、後の10語は未掲載でした。

準1級の単語集とは殆どかぶらないとみていいようです。

『システム英単語』を覚えて、2冊目の単語集を選ぶなら、この『鉄壁』よりも準1級用の単語集の方がいいと思います。

ただ、この682ページを読むだけで、私は約18時間かかりました。この本で単語を覚えようとはしていない、ただ読むだけで、それ程かかりました。(ReviewTestは全てやりましたが)

本書で覚えようとすると、大変な労力が必要になることは間違いありません。




本書の筆者(三木先生)のメッセージをもりてつ先生の動画で見たのですが、
・高2から始めてほしい
とおっしゃっていました。

高3からでは間に合わないでしょうね。

また、
・私大志望者には向かない
・最初から、小説を読むのと同じ様に読む、そしてsection20までいけば、だいたいの長文はOK
とも。

最後に、では私が塾講師として、この単語集を生徒さんに勧めるか、というと、
超進学校の高1もしくは高2で、旧帝を目指していて、尚且つこれから受験用の単語集を始めようという生徒さんにしか、基本おすすめしません。

いい単語集だと思うのですが、使う人を選ぶでしょう。


(私の本棚でも存在感がありますね。)