可愛い友達のジェイルがまさかの坂本龍一教授と対談しました。

すごいやつだとは思っていたけど、巨匠坂本龍一と対談とは驚いた。

韓国の音楽マガジンの企画で、韓国語の記事しかないのが残念なので、勝手に翻訳しました。

是非読んでみてください。

北朝鮮との南北会談で歓送公演「一つの春」を作曲演奏したのがジェイルです。

https://www.youtube.com/watch?reload=9&v=lGovw0B4Kr0&feature=youtu.be

西洋を追う音楽はもう充分だ

ミュージシャンチョン・ジェイル、巨匠坂本龍一に会う

映画「ラストエンペラー」でアカデミー賞を受賞した世界的な映画音楽家坂本龍一（坂本龍一・66）は、電位的オペラ「LIFE」を作った現代音楽家であり、パイク・ジョン・ケージなどと交流していた前衛的アーティストだ。環境活動家・反戦活動家としても活躍している2014年中咽頭ガンにかかって活動を中断した。しかし、2015年・イニャリトゥ監督の映画「レバナント」でカムバック、昨年は8年ぶりのアルバム「Async」を発表し、韓国映画「南漢山城」に参加するなど、病魔を振り切って盛んに活動している。

そして今回、韓国で初の展示会を開く。これまでコラボレーションしたメディアアートと大規模なインストールの作品を見ることができる「Ryuichi Sakamoto：Life、Life「全（5月26日〜10月14日、ソウル会賢洞ピクニック）は、彼の芸術と人生を眺望する場である。また、6月中旬には、ドキュメンタリー映画「Ryuichi Sakamoto：CODA」も公開される。

展覧会の開幕の為に訪韓した彼にミュージシャンチョン・ジェイル（36）が出会いを求めていた。最近の南北首脳会談ファンソンシク演奏で注目されたチョン・ジェイルは歌手パク・ヒョシンとのコラボレーションをはじめ、ポン・ジュノ監督の映画「オクジャ」や「寄生虫」の音楽監督のほか、演劇・ミュージカル・唱劇・パンソリコラボなど、全方位に渡って活躍している。音楽の深さと大衆的認知度に両面を兼ね備えた二人のそれぞれの音楽についての話をする場に中央SUNDAY Sマガジンが同席した。

先月21日の午後、ソウル会賢洞に新しくできた文化空間「ピクニック（Piknic）」は、展示準備に奔走した。坂本龍一のオペラをモチーフにしたの「LIFE-FLUID、INVISIBLE、INAUDIBLE」、日本の庭園美学を再解釈した「ウォーター・ステート・」などの有名アーティストとコラボレーションしたマルチメディアインストール規模が相当した。「ウォーター・ステート」展示場を埋める大きな岩をこの日の午前李禹煥画伯の常連採石場から直接選んできた坂本は、現場を陣頭指揮していた。

チョン・ジェイルが到着すると、「南北首脳会談の公演映像を見た」と言葉をかけた坂本は「ピアノを本当によく弾くね。私も若い頃にはよく弾いたが、今は全然弾けなくなった」と、とんでもない告白をした。そういえば、映画「CODA」でもバッハのゴールデンベルク変奏曲や平均律クラヴィーア曲集などを毎日ちょっとぎこちなく練習していた。

「私は左利きなんです。ピアノ曲がほとんど右手がメロディーで左手は楽しみがないのに、バッハは右手、左手が平等に取り交わす構造です。だから子供の頃から好きでした。作曲をし、音楽の構造を知ることになってますますバッハの偉大さを実感しました。今でも全部理解できた訳ではなく、いつも新しい発見があるんです。バッハの音楽には無限の深さがあるんですよ。」（坂本）

「僕も左利きなんです。そして、ゴールデンベルク変奏曲を毎朝練習していたことがあります。バッハの曲はピアノがなかった時代に出てきた音楽なのでペダルを使って壮大にすることもできないし、一つ一つの音の長さを合わせて弾かなきゃならないからショパンの曲のようには弾けないじゃないですか。心をつかむ練習であり、瞑想の意味もありました。」（チョン・ジェイル）

ピアニストはバッハの音楽の神聖で崇高な面に憧れるのか。映画の中の坂本は、「自分のコーラル前奏曲」を目標に新曲「Solari」を作る。「音楽だけ聞けば非常に崇高だが、バッハには非常に人間的な面もあります。例えばマタイ受難曲の歌詞の中で、イエスが死ぬ部分には民衆の叫びが生き生きと描写されているのです。バッハの時代の人々は、彼の音楽によって、まるで映画を見るような生々しさを感じたのでしょう。」（坂本）

「マタイ受難曲は私も好きです。事実坂本先生のビクバンですよね。「レバーナント」OSTは千回以上聞いて、作業時にすごく大変だったと聞いています」（チョン）

「病気がまだ治ってない時で、最初は拒絶しようとしました。ところが・イニャリトゥ監督の作品は、すべて見ていた程で本当に好きで、もう死んでもいやという心情でした。ところが、生きていて初めて気持ちのままにならないことを経験しました。以前は思ったことの全てができたんですよ。だから身体より精神が痛くて、振り返ってみると六十を超えてそんな経験を最初にできたことが、むしろラッキーな人生だと思いました。」（坂本）

「レバーナントの音楽はまるで東洋画だと思いました。何も描かれていないところに川が流れている感じというか。」（チョン）

「イニャリトゥ監督の最初の要求は音楽よりも音の堆積を望んでいました。ところが、後になって感情的なものまで要求が出てきて。通常、映画音楽は大きなメロディや和音を必要としないが、感情的なものを強くするとなると、音楽や音のきわどい境界というか。私は、実際にはそのようなものが好きなのですが、どの程度やるかが問題だった。」（坂本）

「イニャリトゥ監督の映画「バベル」にも先生の曲「美貌の広がり」が出てくる、映画史に残る選曲だったと思います。」（チョン）

「その時初めて電話して、私の曲を7分ほど繰り返し再生すると言ったんです。「バベル」の音楽監督がアルゼンチンのグスターボ・サンタオラヤだったので、私の曲まで彼が作曲したと考えている人が多いんですね。だからイニャリトゥ監督がグスタボに、アカデミー賞の半分は坂本に与えるよう言ったんですが、くれませんでした。（笑）」（坂本）

民族が手を取り合って私の音楽が必要な場合はやりますよ

反戦活動家である坂本は南北首脳会談を見守る隣人として、大きく感動したした。「やっとこうなったかと思いました。まだ北米間の緊張が残っているが、一歩一歩進ん行って欲しい。現実的には難しい問題もあるだろうが、ドイツもやったんだから。心配になる点は、緊張関係があることによって利益を得る人がいるということ。緊張が解ければ商売がだめになるから反対する。環境問題にも経済的要素が大きい。儲けるために、環境と人権、平和を後回しにする「マネードリブン」社会が問題でしょうね。共産主義者ではないが、あまりに行き過ぎた資本主義はちょっと落ち着く必要がありますね。」（坂本）

チョン・ジェイルの歓送公演「一つの春」を見ながらは冷や汗を流したという。「もし私に同じような依頼が来たら、勇気が出たか？と考えました。歴史的なとても大きな事件じゃないですか。短い時間であのような長い曲を作るというのもそうですし、会談の結果も分からないのだから。交渉の行方を100％確信していましたか？、それとも汗をかきながらみていた？（笑）」（坂本）

「汗を少しかきました。（笑）しかし、音楽は人間のすべてのものに最も密接した芸術じゃないですか。歴史的な瞬間も音楽を必要とすると思うんです。勿論ものすごいところでしたが、そこで民族が手を取るために音楽が必要ならばやるしかない、という気持ちでした。」（チョン）

「その意味を生かして韓国音楽を活用したんですね。私も韓国の伝統音楽が好きで注意深く見たらチャングを打つの人の動き方が私の友人キム・ドクス氏のようだった。聞いてみたら、弟子だったんですね。」（坂本）

「事実そこでも先生のことを考えました。97年大学路の裏通りで偶然キム・ドクス先生と一緒にいるのを見て挨拶させていただいたことあるんです。「ゼロランドマイン」という、地雷撲滅のために世界中のアーティストたちが集まったプロジェクトでした。今回私が演奏したところも地雷でいっぱいの場所じゃないですか。音楽的にも、そのプロジェクトを思い浮かべ作業しました。「アリラン」のような民俗音楽を組み合わせて最終的に平和祈願合唱で結んだのもそのためです。」（チョン）

「アリランは長い歴史と民族全体が作り出した音楽ですね。西洋人も感動したと思います。5音階というのがアフリカから世界中に広まっていった人類普遍の音階なのかもしれません。」（坂本）

「伝統は時間が作りますが、作曲概念よりもはるかに高い次元の何かがある感じがするんです。民謡「セヤセヤ」を書きましたが、最も単純なメロディーに多大な感情を込めました。ペンデレツキがシンフォニーへ書き込みましたが、伝統の力とはそんなことだと思うんです。」（チョン）

大震災トラウマ、新しいアルバムにはまだだ反映できず

チョン・ジェイルが「一つの春」でピアノを演奏してサムルノリとアリランに韓国的アイデンティティを現したが、1990年にニューヨークに移住した「コスモポリタン」坂本は、日本の音楽と西洋音楽の両方を超越した自分だけの世界を持つ。作家村上龍によると、彼の音楽は「日本的イメージを打ち出はしないものの、結果的にどこか日本的」である。

「子供の頃からなぜ私は日本人なのか、地球のどこにでも住むことができたら良いのにと思いました。近代日本は、明治維新と敗戦という二度の自己を否定する事件があったからこそ、伝統音楽を聞く機会もなく、西洋音楽だけを学んで作曲をしていたんです。ところが20年前に大きな事件がありました。欧州ピアノツアーを行っていて、ベルリンのコンサートホールで私がブラームスに影響受けて作った曲を演奏してふと振り返ると、ドイツの前19世紀、ドイツの音楽家が作っていそうな曲を日本人が弾いていたんですね。これまで培ってきた全てのことが崩壊し、ショックを受けた後、私だけが可能であることを見つけたんだと思います。近代アジアは音楽も文学も技術も西欧を追いかけてきたが、もうそんなことは止めなければならね。」（坂本）

自然の音を音楽に融合した「Async」アルバムにもそのような思いが込められている。「音楽はXY座標の中に平面的にすっきりと整理されている数学のような面もあります。近代ヨーロッパはそのような考え方で音楽を作ってきました。私は数学的思考をすることを捨てて、より自然に近い側に戻したい。自然と人工の出会いを超え、より自然な考え方でつくるんです。」（坂本）

前にもアルバ能登と作業をましたが、今回のアルバムは、全く違いました。音楽に傾倒すると気になるんですね。2011年の東日本大震災という悲劇がありましたね。韓国のアーティストたちもセヲル号惨事以後作風が多く変わったのですが、もしかしたらそのようなトラウマが作用したのでしょうか？」（チョン）

「大きな衝撃を消化するには時間ががかかります。私も数年かけて大地震の後の感覚を作品に反映している感じなのですが、まだだ消化しきれていない。簡単に答えを出すのが難しですが、考えるということ自体が重要なのでしょうね。大地震が現代文明というものを考える大きなきっかけになったわけですが、かといって文明をすべて否定して石器時代に戻ることはできない。このような「マネードリブン」社会が続くのが良いことなのか考えると、少しずつ前進するしかないのでしょうね。」（坂本）

オリジナル記事は下記

http://mnews.joins.com/article/22679144#home

ミュージシャン チョン・ジェイル、巨匠坂本龍一に会う

ミュージシャンチョン・ジェイル、巨匠坂本龍一に会う