カンカン照りやら長雨やら、何かと身心を蝕む夏が続いております。
毎夏、私には心に刻みこまれた数十年前の出来事が思い出されます。
当時、私は柔道部員として夏休みの稽古に明け暮れていました。
スポーツ強豪校でもない公立高校に、何故か東京オリンピック(1964年)の候補生であった方が顧問として君臨していた柔道部でした。
「鬼の○○先生」と皆から呼ばれる、どんな不良・番長も一目置く、そのタグイの方でした。
ある日の練習後、汗まみれの柔道着から制服に着替え、そのまま帰ればよいものを、解放感に満たされた私を含む3人が道場に戻り大はしゃぎ! そして、その声を聞きつけた鬼の登場。
「稽古が足りなかったのか! 運動場10周して来い‼」
夏休み中の無人の、そしてカンカン照りの運動場を制服姿で10周。汗まみれ。革靴で走った足は靴ズレで血まみれ。
その後、体育館2Fにある教官室の真下で、無人の運動場に向かって正座。 誰もいない運動場に響き渡るはセミの大合唱。
その声をかき消すかのように2F教官室から滝のような大水がザップーン! 2Fを見上げればカラのバケツを掲げた鬼の姿。
そして、「帰れ!」の一言。
道行く人々から不審者扱いの視線を受け、水でドボドボ姿の学生は駅に到着。 電車に乗るにあたって考え付いたのは、乗ったら直ぐに連結部(ジャバラ部分)に入り込み、人目を避ける作戦。
しかし実際入ってみれば、冷房設備などない当時、ジャバラ部分まさにサウナ状態。瞬く間に汗だく状態。
炎天下の運動場走って汗でドボドボ。 大水被ってダブダブ。 ジャバラのサウナで汗ダクダク。
何やら、水と汗が混じりあい、化学反応起こして新種の毒ガスを発生させているかの感覚。 まさに身体じゅう液体まみれ。
降車駅からは逃げるように走り去ったものです。
夏の濃い思い出となっております。
鬼は既に他界されております。 今では完全にアウトな教育指導ということになりますが、この鬼の教えこそが我が人生の原動力となり、定年を過ぎた今となっても積極的に活動しております。 大きな影響を与えてくれた鬼師に感謝。そして、合掌。