大阪では有名な大トラ(泥酔者)専門と言われている病院だ。

粗悪なドラッグで突然暴れだした人間もここへまず運ばれる。

検査を受けたが、どこにも異常はないと言われる。おかしい、

いやそんな筈はない。現に立てなくなり、足に痺れが走る。

そして緊急搬送となり、中之島からも近くの大きな病院に入る。

さっき掛かった携帯はどこへ行ったんだろう、そして連れの

女はどうしたんだろう。

段々ともっともっと意識が遠のく。痛みはまだ左側、いや、

もう全身に及んでいる。力は入らない。

 

搬送されてすぐだろうが、家族の声がした。まだ酩酊している

意識のままだ。何故早朝に、どこにいたのか、どうやって答えよう。

救急隊員から説明を受けている筈だ。怒るだろうし、

下手をしたら酷く怒鳴られるかもしれない。

どう説明すればいいのか、自分が隠してきた事が既に知られている。

 

それよりも、ラブホテルに入る前に置いた、自分の車だ。

どこに置いた、あれはどこだ。タイムズじゃない、

最初に搬送された病院からそんなに遠くはない。

家族は車の免許が無い。どうやって、どうやって車を

自宅に戻そう。

鍵は、車のカギは。今着ている服は、病院の服だ。

自分の衣類がどこにあるか判らない。

そう、それは某場所のラブホテルで。

横流しのバイアグラを飲み、金額1万円と少しの

手当を渡している、出会い系サイトで知り合った25の女と

やっていた時だ。左片方に激痛が走り、

立てなくなったのだ。青くなっていく自分の顔、

横で慌てふためいた連れの女。

救急車を呼び、最悪な結末を踏んだと思った。

救急隊員に大声で聞かれる。

「何か薬飲みましたか?」

答えるしかない、バイアグラを飲んだと。数千円で

知り合いのしょぼくれたジジイから買ったやつだ。

それが自分をここまで追いつめている。

気が遠くなる。知らせを受けた家族から

電話が入る、朦朧としたまま電話に出て答えるが、その

携帯をじれったく見てイラついていた救急隊員が取り上げて

代わりに答える。

「今違う病院からの救急搬送で…、そうです、場所は」

 

最後まで救急隊員はバイアグラが原因という事には

触れなかった。そのまま体が重くなり、気を失った。