私は半世紀歌うことを封印してきました。

なぜかというと、子供の頃、私の父が、カラオケ大好きな人で、家に大きなカラオケの機械があり、金色のマイクで時間があればいつも唸っていました。

歌っていた、というよりも、"うなっていた"という表現がぴったりでした。

曲はほぼ、ド演歌ばかり。自己流で歌う父は、喉が狭いような、いつも何だか苦しそうで、聞いている私は苦痛でしかありませんでした。でも、我が家の家族はみんな優しかった。誰も、一言の苦情も言わずに、ただ、我慢していました。

子どもの私は思いました。これは公害だと。一般人が人前で歌うことは、人に迷惑をかけてしまう。私は絶対にしたくないと、心に誓ったのでした。

学校での合唱はほぼ口パク、歌の試験は声が小さすぎていつもひどい成績でした。でも、決してブレませんでした。会社に入り、お付き合いでカラオケも、一人では歌わず、誰かと2、3人で。

二年前にボイストレーニングを習っているフラダンスの友達から、その当時、私が旦那様を亡くしたので、ストレス発散に良いからと、ボイトレに誘われました。その気持ちがとっても有り難かったのですが、即、断りました。

去年、私は、癒しフェアで買ったカードを引くと、一か月の間に何度も何度も「SING(歌って!!)」というカードが出てきました。

いやいや、無理です。と、全く動きませんでした。

独身時代、会社の同期でとても仲の良かった友達が数年ぶりに会おうと連絡をくれて、大喜びで会いに行き、色んな懐かしい話しをしていたら、

なんと、当時、私が、カラオケで一人で歌ったと言うのです。

そんなばかな、、と、思いましたが、友達が嘘をつくなんて考えられないし、私も、そんな気がしてきました。自分では消し去ってしまった記憶なのかもしれません。

その友達は、私が、薬師丸ひろ子さんの曲を歌ったと、それが、30年も経った今でも忘れられないと(@_@)さらに、薬師丸ひろ子さんのコンサートに一人で行くことにしたと( ゚Д゚)信じ難いことを言うのです。

あまりに驚いて、言葉に詰まりました((+_+))

少なくとも、私の歌は公害ではなかったということ??

さらに、二年前にはっきりと断ったはずのフラダンスの友達からの、再度ボイストレーニングのお誘いが来たときには、もう、わかりました、と。歌を歌えばいいんですね?と。開き直って、ボイトレを始めることにしました。

初日に、先生に、今まで、封印してきたことを正直に伝えました。

自分の声の出し方も分からないと、コントロールもできないと言いました。

でも、とっても不思議なことに、いきなり歌えちゃったんです。

嬉しいことに、しっかり歌ってみて、一番心配だった、父と骨格が似ているので、声も似ているかと思っていたら、全然違いました。

先生にも、とっても優しくて、人柄が出ている綺麗な声ですね、なんて言われて、恥ずかしかったけれど、公害ではないのね、と、ホッと一安心しました。

一か月に一回のレッスンで、まだ二回目なのに、楽しく気持ちよく歌えています。

さらに、信じられないことに、先生が、海の近くの素敵なサロンでの発表の話しがあったので、時期はまだ決まってないけれど、引き受けてきたと言うのです!! まだレッスン二回目!!!( ゚Д゚)

そんなわけで、発表の場もめでたく決まり!?封印していたはずの歌を披露することになりました(笑)もう、楽しむしかないです。

こうして、トラウマをまた一つ解消することができました。