
花咲く街の少女たち 青波杏
「楊花の歌」「日月潭の朱い花」に続く戦前戦中のアジアが舞台の少女たち青春を描いた小説の3作目
8月に発行されてたのね
青波杏は新刊チェックしてたんだけどなぁ
見落としてた
日本植民地下の朝鮮、京城の女学校へ通うために日本から1人で下宿先の女学校教師の家へ来た翠
日本で暮らす養父の援助で京城の女学校へ通うために来たお嬢様、ということになっているが
実は、元は東京の下町の娼婦街で母親と2人で生活していた翠
お嬢様のふりをして女学校へ通う数年間が翠に与えられた自由な時間となる
翠は女学校を卒業すれば日本に戻り養父と呼ばれている男の妾とならなくてはいけない
京城での下宿先、女学校の教師宅
教師は日本で共産主義に傾倒し土地の名士でもある実家から勘当され何とか京城での教師の職を得た
例の養父から翠の女学校卒業までの生活を見る事で援助を受けることになっている
そこには教師の子供の子守として雇われている朝鮮人の娘ハナがいた
勤め先のお嬢様と子守、日本人と朝鮮人という2人の関係には大きな隔たりがあり
誰も知り合いのいない京城でこれから暮らしていく翠は、年の近いハナと何とか打ち解けたいと思うがハナは頑な態度で翠を寄せ付けない
翠が朝鮮人で子守として働くハナと友達になりたいと思う気持ちは、日本人の心の驕りでしかないと気付かされる
少しずつ心を開いていくハナ、やがて惹かれ合う2人
教師を付け狙う特高に翻弄される翠とハナたち
時代は戦争へと突き進む中
淡い想いを抱いたまま、それぞれの未来を夢見て旅立つ
翠が長崎に向かうという流れに、その最後を心配したのですが…
いい終わり方でした