鎌倉暮色

江ノ電の「由比ガ浜(ゆいがはま)」と言うプレートに見覚えがあったので母に聞くと、毎夏一家で安い公務員の宿に来ていた

わが家にある写真を見ると平屋で縁側に猫が遊んでいるが今は高級ホテルに一変している

 

猛暑の鎌倉、小町通りは若者ばかりで何を見ても

2000円以上でまずそうだ

やっと入ったチェーン店の蕎麦は茹でた後固まっていて何とか嚙み砕いた

こういう店が多くなった

若者の訓練をしなくなった

 

そんなところに行ったのは鏑木清方が見たかったからだ

長女を描いた絵が圧巻で薄紫色の着物を着て三つ編みの横顔が美しい

 

そこには若者はいなかったが

真贋を見分ける目を育てなければいけない

この絵は億は下らないだろうが竹久夢二と同じ

大正ロマンだ

 

ここの入場料は三百円、価値がわかる若者がいないはずはないが、こんなところに見る人もなく名画が眠っていることを知らないのだろう

 

美人画を好んだことはルノワールに似ているが

浮世絵につながる日本画の伝統も素晴らしい

しかしこんなモデルがまだいるだろうか