★民法の限界を打ち破れ! 相続で妻を守るダンゼン新しい発想 | ジャーナリスト 石川秀樹

ジャーナリスト 石川秀樹

ちょっと辛口、時どきホロリ……。理性と感情満載、世の常識をうのみにせず、これはと思えばズバッと持論で直球勝負。
3本のブログとFacebook、ツイッターを駆使して情報発信するジャーナリスト。
相続に強い行政書士、「ミーツ出版」社長としても活動中。

★家族信託を使って「妻に全財産を相続させる」を実現! 遺留分には扶養義務で対抗

http://yuigonsouzoku.net/protect-my-wife-with-family-trust/


 

自分の亡き後、妻をバカ息子たちから守り抜くというこのテーマ、いくつも書いてきた。

日本の民法は、こと相続に関しては”悪法である”と断じたくなる要素を持っている。

その最たるものが「遺留分」という観念である。


 

民法の相続法規の中で、「法定相続分」と「遺留分」という2つの”権利めかした”言葉がある。

このおかげで、最近は「子なら親の財産をもらう権利がある」と思い込む人が増えてきた。


 

でも2つの「──分」、実は微妙にニュアンスが違う。

「法定相続分」は任意規定であり、一方

「遺留分」は強行規定とされているのだ。

「任意」ならその通りに分けなくてもよい。

「強行」規定なら、そうしなければならない。

この意味の差は大きい。


 

しかし民法はこの両者について、ほぼ同じ書き方をしているのだ。


 

民法第900条

(法定相続分)

同順位の相続人が数人あるときは、その相続分は、次の各号の定めるところによる。

一  子及び配偶者が相続人であるときは、子の相続分及び配偶者の相続分は、各二分の一とする。

二  配偶者及び直系尊属が相続人であるときは、配偶者の相続分は、三分の二とし、直系尊属の相続分は、三分の一とする。

三  配偶者及び兄弟姉妹が相続人であるときは、配偶者の相続分は、四分の三とし、兄弟姉妹の相続分は、四分の一とする。

四  子、直系尊属又は兄弟姉妹が数人あるときは、各自の相続分は、相等しいものとする。


 

民法第1028条

(遺留分の帰属及びその割合)

兄弟姉妹以外の相続人は、遺留分として、次の各号に掲げる区分に応じてそれぞれ当該各号に定める割合に相当する額を受ける。

一 直系尊属のみが相続人である場合 被相続人の財産の三分の一

二 前号に掲げる場合以外の場合 被相続人の財産の二分の一


 

同じ書き方なのに、一方は任意で、他方は強行規定、つまりあたかも「権利であるかのように」してしまったのは、裁判所が下す判例である。

最高裁が断を下せば、それ以降、その判断が法律ででもあるかのように、一片の批判もなく順守されてしまう。

司法府が、まるで立法府になったかのような硬直ぶりだ。

 


 

 

しかし、市政からこんな文句を言ったところで始まらない。

相続実務上、遺留分減殺請求されたらそれは絶対的な権利で、親不孝者であろうが、親をないがしろにし時には暴力的にふるまった者にであろうが認められてしまう、と覚悟しなければならない。


 

と言うことは、私がどんなに「妻に全財産を相続させる」という遺言書を書きましょうと言ったところで、欲深な子どもたちがいる限り4分の1(子の相続分2分の1の半分)は持っていかれることになる。

「民法の限界」の1例である。


 

どうにも納得がいかない。

一緒に財産を築いてきた者でもない者たちに、なぜ権利を主張されなければならないのか。

何とかならないものか───

この執念が私に、ある考えを思いつかせた。


 

子らが権利を主張するなら、コチラは「子らの義務」を主張すべきではないかと。

子には親を扶養する義務があるのである(これまで黙って親がその義務を果たしてきたように)!


 

民法第877条

(扶養義務者)

一 直系血族及び兄弟姉妹は、互いに扶養をする義務がある。

二 家庭裁判所は、特別の事情があるときは、前項に規定する場合のほか、三親等内の親族間においても扶養の義務を負わせることができる。


 

私は「生活保護」までを引っ張り出して、子には親の扶養義務があることを思い出させるようにした。

だからこのブログは、私の渾身のブログだ。


 

なぜここまで書くのか。

それは不正義が許せないからである。

司法に対しても、子に対しても。


 

個々の事情を吟味もせずに、調べる努力のカケラもなしに「遺留分減殺請求権」を権利であるかのように認め続けるのは、法の不正義である。

片親が亡くなった一次相続で、遺された配偶者の今後も考えずに、金欲しさに権利のみ主張し、「扶養」の「ふ」の字も考えないのは子としての不正義である。


 

当分この不正義はまかり通るであろう。

私は、一石を投じざるを得なかった。