諸行無常の世の中…
我は北条泰時(ほうじょうやすとき)が妹、竹子(たけこ)です。
源頼朝(みなもとのよりとも)様は金剛(こんごう、泰時の幼名)の母・光(ひかり)の寝所に訪れましたが…
頼朝「政子(まさこ)!」
そこに居たのは頼朝様の正室・政子様だったのです。
政子「殿、このような時間に侍女の寝所に何か用ですか?」
頼朝「いや…あの…部屋を間違えたようじゃ、酒を飲み過ぎたかの〜」
政子「全く…可愛い女子を見ると、すぐ手を出すとは。光は我が弟・義時(よしとき)の妻ですぞ!」
頼朝「わかった、わかった、もう手は出さん。」
頼朝様は慌てて、その部屋から出ていきました。
頼朝さんは浮気して政子さんに激怒された過去があるから頭が上がらないんだね。
政子「…光、出てきなさい。」
光が奥から現れました。
光「御台様、ありがとうございます。」
政子「我が夫ながら女癖の悪さは情けない限りです。」
光は頼朝様に言い寄られたことを政子様に相談していたのです。
光「政子様…私は鎌倉を去ろうと思います。」
政子「なぜです?殿のことなら私がいますから…。」
光「いえ…義時様に申し訳ないのです。義時様は私のために正室を迎えようとしません。それでは北条様のお家のためにもなりませぬ。」
義時さんは他の有力御家人の娘と結婚の話がきても断っていたんだ。
政子「金剛はどうするのです?」
光「政子様、金剛のことをお願いできないでしょうか?この子は北条様の子です。鎌倉のために働ける子です。」
政子「ならば光、私からもお願いがあります。それは……。」
政子様は光に何を頼んだのでしょう?
それは後にわかることになります。
一ノ谷の戦いで勝った鎌倉軍のうち、源範頼(みなもとののりより)の軍勢は鎌倉に帰還しました。
源義経(みなもとのよしつね)さんは頼朝さんの代官として京に残ったんだよ。
範頼に従っていた義時も帰ってきました。
義時は政子様から光のことを聞かされました。
義時「……わしの嫌な予感が当たりました。頼朝様に手を出されるのではないかと案じておりました。」
政子「光は頭の良い女性です。」
義時「しかし、光はどこへ行ったのですか?」
政子「光は私の願いを聞いてくれ、今は身を隠しています。いずれわかる時がきます。」
義時は金剛を抱きながら涙しました。
1184年8月、四国の屋島(やしま)に敗走した平家が再び山陽道に勢力を伸ばそうしたため、頼朝様は範頼を大将とした軍勢を西へ出陣させました。
義時もその軍勢に加わり鎌倉を出立したのです…。
つづく…
次回をお楽しみに〜
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