2024年4月27日、東京ドームのステージに音楽を演る黄色い猿が4人が立った。
THE YELLOW MONKEY SUPER BIG EGG 2024 "SHINE ON"が開催されたのだ。実に3年半ぶりのライブとなった。
コロナ禍とボーカルである吉井和哉氏の癌が発覚したため本公演は30周年記念ライブのリベンジ・復活として開催された。
東京ドームには12時からたくさんのファンが集まった。開演前に物販はすべて売り切れるほど、ファンは彼らの復活を望んでいた。
会場には大きなスクリーンが用意されていて、開始までの時間が映し出されている。
開始10秒前になると、この時を待ちわびたファンは全員立ち上がり共にカウントダウンを始める。
18時30分、暗転。会場には期待を含んだどよめきが一瞬あがり、明かりがつくと大歓声が上がった。
そこにはたくさんのファンが3年半待ちわびたメンバーが立っていた。
吉井和哉は「お待たせ!」と叫ぶ。落ち着きのあるギターの音は彼らの代表曲である「バラ色の日々」である。オープニングは吉井和哉と5万人のファンたちで大合唱から始まった。前奏が始まるとメンバーたちの繋がりを深く感じることが出来る。コロナ禍での音楽の在り方の変化、吉井和哉の癌など幾多の悩みや壁を越えてこの日4人は音を鳴らしている。
「ヒット曲はないけれど、代表曲をやっていきます!」と叫ぶ吉井和哉。さっそく公開されたばかりの新曲「SHINE ON」を披露。THE YELLOW MONKEYらしい、ロックでありながらも日本人のDNAが好むメロディー、彼らの艶やかさが現れる怪しい雰囲気をまとったこの曲にファンも興奮を抑えることが出来ない。
デビュー当時の曲やアニメのEDになった有名曲をMCなしに続けざまに演奏。開始直後に昂ぶり涙を流すファンも少なくなかった。
勢いのある「Tactics」から、ギターのエマのソロが始まる。妖艶でありながらダークな空気をまとわせたソロには、ファンの目線をすべて奪っていく。「聖なる海とサンシャイン」が始まる。上がったボルテージを落ち着かせつつも下がることのないい気持ち。この日の我々は、彼ら4人の手のひらの中にいたのだろう。落ち着かされてはまたしても上げられる。まさにロックの夢の中を泳いでいたのだろう。
「端っこの皆さんもスタンドの皆さんも楽園に連れていきます!!」そう叫ぶと「楽園」のリフがかき鳴らされた。まるで猫を優しく包み込むような、しかし新たな大陸に出かけるような力強さを感じるこの曲。誰一人置いていかないという彼らの強い意志を感じながら、この日ファンは楽園へと誘われて行った。
この日公開よりも早く披露されたのが「ソナタの暗闇」だ。スクリーンいっぱいに歌詞がランダムに映し出されていく。彼らの曲は初めて聞いても、どこか懐かしさを感じることが出来るのだ。誰も聞いたことのないはずなのに一体感が生まれるのは、彼らの作り上げてきたものの成果だろう。
中盤に吉井和哉の癌に関するYTRが公開された。「死にたくない」「ステージに上がりたい」と彼は語る。吉井和哉ひとりではなく、メンバー全員が「帰ってくる」と誰ひとり疑うことがなく力強く言い放った。その気持ちは、この日会場にいた5万人すべてのファンも同じだったろう。「ありがとう」「おかえりなさい」と叫ばれる中、「人生の終わり」が始まった。寂しさの中に生まれてきたことを、復活したバンドはやり切った。
ライブも終盤に差し掛かると、「世界中のお姉さんとラブラブしよう!」と叫び「LOVE LOVE SHOW」がかき鳴らされる。THE YELLOW MONKEYの中で最も極楽な1曲であるこの曲は、メンバー全員を笑顔にした。それにつられファンも笑みをこぼしていく。そして会場のボルテージも上がり切り本編は幕を閉じた。
アンコールまでも代表曲で埋め尽くされていく。アコースティックギターを持った吉井和哉が「もう少し売れると思ったんだけど」というと会場には笑いが起きる。「アバンギャルドで行こうよ」を歌い上げたので。そこから止まることはなかった。「みんなが今ここにいるのは奇跡」そう言うと、ステージから降り縦横無尽にかけるメンバーたち、「ALBRIGHT」が始まる。5万人のファンとメンバーが変わることなく東京ドームに集まることが出来た。そんなひとつの奇跡を再確認することが出来た。
「悲しきASIAN BOY」を全員で歌い上げ、1度目のアンコールは終了。しかし、久しぶりの再会にファンたちはまだ物足りないのか歓声が止むことはなかった。再び、待ち望んでいた4人がステージに上がる。
2回目のアンコールでは、この日最も待ち望まれていたであろう「JAM」であった。強いメッセージ性に聞きなじみのあるメロディーに5万人のファンたちが釘付けになった。また歩き出すことが出来る、やさしさに生きていくそう強く感じさせることが出来ただろう。
この日の彼らは、すべてを出し切っていっただろう。なんとアンコールが3回あったのだ。「WELCOME TO MY DOGHOUSE」と根強い人気の一曲で終幕を迎えた。全体を通して、我々は彼らの小屋の中で踊っていたのだろう。
「我がイエローモンキーは永久に不滅です!」と吉井和哉は叫んでいた。安堵と喜びから大歓声が東京ドームを包み込んだ。この日、彼らは復活した。そして命の灯が消えるまで転がり続けていくのだろう。
01. バラ色の日々
02. SHINE ON
03. Romantist Taste
04. Tactics
05. 聖なる海とサンシャイン
06. BURN
07. ROCK STAR
08. 楽園
09. SPARK
10. ソナタの暗闇
11. 天道虫
12. 太陽が燃えている
13. 人生の終わり(FOR GRANDMOTHER)
14. SUCK OF LIFE
15. LOVE LOVE SHOW
16. ホテルニュートリノ
17. アバンギャルドで行こうよ
18. ALRIGHT
19. 悲しきASIAN BOY
20. JAM
21. WELCOME TO MY DOGHOUSE