もう1週間以上も前の事だけど夏フェスに行ってきた。
その日も僕はいつも通り予定の時刻になっても体を起きあげる事が出来ずにいた。
いいじゃないか、折角の休みなんだし。
1人で知らない場所に行くのは苦手だ。
更に人が居る場所が苦手だ。
高校の受験もそうだったし、原付の免許を取る時もそうだった。
あぁいう雰囲気はとても苦手なのです。
楽しい事をしに行くのに"それ"に似た雰囲気があって早くも僕はめげそうだった。
そんな思いも手伝って、ただでさえ寝起きの体を起こすのは辛かった。
会場に近づくに連れてビークルTシャツを着た人がちらほら。
電車の中に1人、また1人。
これが苦手なんだ。
満身創痍で会場に到着。
命からがらチケットを手に入れたミッチーと合流。
(彼は当日までチケットが無くダフ狙いで会場に行ったら心優しいお姉さんが定価以下で譲ってくれたそうな。)
空ってこんなに広かったっけ?
そんな事を思わせるほどどこまでも広がった青は果てなど知らず、そして太陽は容赦なく僕らを照りつけた。
その時、自分のノドがビールを求めていた事を思い出した。
俺はビークルの物販に並び、ミッチーの手に持たれたビールがやって来るのを今か今かと待っていた。
日がちょうどてっぺんに昇る頃、ヤツはやってきた。
黄金色に輝くその液体はまさにモルツ。
一気にノドに流し込む。
待ってたぜ!と言わんばかりにノドが音を鳴らし体に吸収していく。
染みる。
温い事など全く気にさせない。
青く広い空と照りつける太陽がそうさせたのだ。
額から吹き出た汗は頬を伝い、芝生に落ちて染み込んでいった。
そして2時間経っておよそ200mあるうちの50mしか進まない物販の列をそそくさと離れ、グレープバインを見に行く。
太陽にやられて頭がボーッとしてる中に鳴り響くギターの音。
何だか幸せだった。
奥田民生が出てきた。
あの人は何をしても様になるな。
手を挙げた。
客も手を挙げた。
スゴイなー。
そんな事を思って、目の前に広がる光景をただボーッと見つめていた。
日が沈みかけの夕方。
人と人の間を擦り抜ける風が日に焼けた肌を優しく撫でる。
気持ちいい。
小さい方のステージにCoccoが登場。
映像で見る限りはよく話す印象だったけど口数少なく歌い続けた。
日が沈む空にCoccoの歌声はあまりにも贅沢な一時だった。
1曲目が終わるとCoccoはステージの端に行ってスタッフに手とマイクをガムテープで固定させた。
そうか、命をかけてステージに立ってるんだな。
そんな事を思いながらとても微笑ましい気持ちになった。
辺りはあっという間に暗くなってしまいMONGOL800がステージに登場。
あなたに、小さな恋のうた、
それはそれはキラーチューンの連発でとても懐かしい気持ちになった。
神様という聴いた事の無い曲がとても印象的だった。
怒髪天を諦め、お目当てのビークルを見る為にその場で待機というらしくもない事をしてみた。
最後だしね、悔いの無いようにしたかったんだ。
内容は割愛。
肩を落とし出口の方へ向かう僕を優しく包んだのはTheピーズだった。
ハルさんの言葉一つ一つが僕の胸をワクワクさせた。
ビークルのファン達に揉みくちゃにされ身も心もボロボロだった僕には余りにも優しすぎた。
頑張れノロマー!
日焼けで首がヒリヒリ。
心地良い体のダルさを土産に家路につくのだった。
バイバイ僕の青春。
永遠だよ。