ニコ生でみんなと一緒に面白い小説を書く

ニコ生でみんなと一緒に面白い小説を書く

同じ物語を7人の主人公の視点から書いていく。
最終的には7人の違う漫画家がこの話を作画してくれることを
願って書いていこうと思う。
 まぁ、独創アイデアのつもりだったが、つまりはLALである。

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 「もも・・・そっちはどうだ?」

となりにいる男がささやくようにたずねてくる。

「いや、やつらはまだ・・・・」

じっと息を殺して、二人は物陰に潜んでいた。 

足が重い。手が震える。どうしてこんなことになったのだろう・・・

 ももと呼ばれた男はふと、ポケットの中のペンダントに手を伸ばす。

ペンダントには、男の妻と子の写真が飾られていた。

色あせた写真だがこれだけは失うわけにはいかない。


 緊張した体もペンダントを握りしめることで、すこしほぐれるようだった。

男は極度の緊張状態にあった。それは隣の男も同様だった。

自衛隊勤務の二人は、いままでのどの演習よりも、きつい緊張状態を強いられていた。

アフガニスタンに派遣されたこともある二人だったが、混乱のアフガンよりも今いる現場は

ハードだった。


 「おい、タバコ吸うか?」

隣の男が ももと呼ばれた男にそう言って一本の煙草を差し出す。

アメリカンスピリット。少しきつめだが、中身が詰まった、世界一グッドテイストな煙草だ。

 「すまんな。」

そういって、男が受け取ろうしたそのとき、

鼓膜が破れるほどのおおきな爆発音が二人の耳をおそった。

瞬間、二人はパッと物陰から飛びだし、状況確認を急いだ。

 「やっぱ、狙いはタワーか。」

二人の視線の先には、黒煙を上げる東京タワーの姿があった。



映画では何度でも破壊されるタワーだったが、

実際に目にすることになるとは思わなかったであろう。

 しかし、目の前に移る光景は劇よりもドラスティックであった。

爆発は、展望台そのものを吹っ飛ばすほどの大きなものであり、

破片が次々と飛んできている。東京タワーはまさに今倒れようとしていた。

足を失ったタワーはゆっくりと傾いてきている、あと数秒で倒壊するであろう。

ここから、東京タワーまではおよそ1kmほどであろうか。

二人にできることは数秒後に来る衝撃に備えることだけであったが、

それすらも現実は許してくれなかった。


目を疑う光景だった、黒煙を上げる東京タワーの中から、無数の影が

飛び出てきたのだ。影は1km先の距離からも十分視認できるものであった。

 影は「ハチ」であった。それも、1km先からでも1体1体わかる大きさ、5m以上あるだろう。

それが、無数にそしてなんとこちらに向かって飛んできてるのだった!

ブブブと無数の羽音が、重低音となって空間に響いていく。

恐ろしいスピードでこちらに向かってくるのがわかる。

聞こえる羽音もどんどん大きくなっていく。

 逃げなければやばい、誰もがそう思う状況、

どんな訓練をしていてもどうにもならないという本能的な危機を察知していた。
 
ももは一目散に走り出した、本来動向を見守らなければならないタワーのことなど

すでに頭になかった。

とにかく、ハチから逃れることのできる方向に、ただひたすらに

走った。


途中ズーンという衝撃が地面を襲った。

確認せずともタワーが倒れたのだろうことはわかった、しかし構わず走った。

タワーの衝撃は恐ろしいものだったので、信じられないくらい激しい

揺れであったが、転ぶことなく走れたことは、幸運だったというしかないであろう。

とにかく、モモは逃げ切ることができた。



 この日の夜の出来事をモモはほとんど覚えていない、なぜ逃げ切ることができたのか、

タワーがどうなってしまったのか、何も分からないまま、気づけば病院のベッドの上であった。

ただ一つ分かっていたことは、隣に相棒の姿はなかったということだけであった。

相棒のくれたタバコの味だけがまだ口の中に残っていた。                                                                          
                                                つづく