さほど親しくない人とちょっと立ち話で、
これから実母の介護が始まることにまつわる愚痴やお悩みを聞きました。
・施設に入っていた母がかわいそうで自宅介護をしてやりたい
・弟がいるが相談しようとしても忙しいからとちゃんと話せていない
・弟の嫁もその件についてなんの連絡もくれない
要約すると上記の内容です。
Aさんは今は実母を施設に入れてらっしゃるのですが、
お母様が嫌がっているとか施設があまり良くないとかで、
Aさんご本人が施設から出して自宅で看てあげたいと積極的にお考えの様子。
自分一人では到底無理なので、
弟さんにも手伝ってもらいたいのだけれど電話しても反応が薄い。
相談したいのにお茶を濁されて話が先に進まず困っている。
弟は仕事で忙しいし仕方がないのでお嫁さんに手をあげてほしいが、
姑の介護に積極的に介入してこようとしないので腹が立つ。
長男の嫁なんだからと文句を言ってやろうかと思っている、とのことでした。
Aさん自身は仕事も子育てもして十分大変な状態で、
この上さらにお母様の介護まで自分一人でやらなきゃならないの?!と
ストレスMAXな張り詰めた気持ちが伝わってきました。
さほど親しい間柄ではないため詳細なご事情は計りかねますが、
切羽詰まった人に「どこも同じ、大変よね〜」などと
右から左へ受け流して話を終わらせるようなことはできませんでした。
私がAさんに申し上げたのは、以下の3つです。
・絶対に弟さんにも関わらせた方が良い
・お嫁さんにはAさんが直接言わず、弟さんからお嫁さんに頼むべきである
・お母様の幸せより自分の幸せをまず確保すべし
まず、お母様が生み育て愛情を注いだ子がAさんと弟さんの2人なら、
Aさんと弟さん2人とも、老いた母親の面倒を見る義務があり、
なにより、
「お母様は2人の子から愛情を返してもらう」権利があると思います。
いくらAさんが一生懸命ひとりでお世話をしても、
お母様は『どうして息子のほうは来てくれないのかしら?』と、
もう一人の子供に愛されていない見捨てられていると悲しみます。
それがお母様にとって一番かわいそうなことだと思うのです。
また、男だからとか仕事が忙しいとか、
弟さんに遠慮する必要はないと思います。
育ててくれた親の面倒をみる義務は平等にあるはず。
ただし、面倒の見方はいろいろあると思います。
時間を使うか、手を使うか、お金を使うか、
その手法はできる方ができるやり方で負担し、
その落とし所を決めるために何度も話し合うべきだと思います。
またお嫁さんに対しては、長男の嫁なんだから!と思うでしょうが、
基本は自分の親は自分で看るという考えに基づいたほうが良いと思います。
お嫁さんは赤の他人で、紙切れ一枚の関係です。
お姑さんに育ててもらった恩などないし、
お嫁さんが世話するべきは夫と子供と自分の親なのですから。
(Aさんご自身だってそうでしょう?)
弟さんが仕事のため代わりに自分のお嫁さんの手を借りるのでしたら、
弟さんが自分で嫁に頭を下げて頼めばいいのです。
俺の代わりにすまんが姉と交代で母の面倒見てやってくれないか、と。
当事者は弟さんなのですから、
オペレーションをどうするかは、弟さんの家内会議で決めさせるべきです。
高校生や大学生の子供がいるならその子達も手伝えることがあるでしょう。
そこを弟さんの頭越しに、
Aさんからお嫁さんへ直接指示するのは越権行為に等しく、
ますます弟さんは当事者意識を持たなくなるし(自分の親なのに!)、
Aさんにもお嫁さんにも持って行き場のない不満がたまるに決まっています。
兄弟全員なんらかの形で分担、長男も末娘も関係ない、
男が仕事をセーブして見守り介護をする、などなど
そういう介護をやりきった事例をいくつかみてきました。
全ての家庭にそれぞれの異なる事情がありますが、
やってやれないことはないんだ、
「やる」という方向へ気持ちを向けてもらえます。
最後に、
全部一人で抱え込んでしまいそうなAさんに念押ししたのは、
お母さんの幸せのためにAさんが不幸になったら元も子もないよ、ということ。
Aさんがまず幸せな状態を確保すること。
Aさんが無理を重ねて辛い苦しい顔をしていれば、
介護されているお母様だって自分のせいで娘が・・・と辛くなるはず。
なんのために自宅へ引き取るのか、本末転倒になってしまいかねません。
それに、
お母様だけがAさんの家族ではありません、子供も旦那さんもいます。
Aさんがお母様の介護を一手に引き受けその結果潰れてしまったら、
子供さんだって不幸になってしまいます。
Aさん、まずあなたの生活を死守しましょう。
あなたが大事にすべきは自分自身の生活、子供、旦那様。
そこを著しく損なうような介護スタイルはみんなを不幸にしかねません。
お母様を想う気持ちは子として素晴らしい。
でも理想を追求しすぎて自分が潰れてしまってはやっぱりダメなのです。
弟を巻き込みましょう、
完全に自宅介護でない方法も探してみましょう。
長丁場になりますので、できる続けられる介護にしましょう。
ひとりで全部背負うなんて無理、
あなたの幸せを忘れないように、
自分を守って、
どこに居ようと親孝行な娘に愛されていることをお母様に伝えてあげてね。
・・・・
なんか、たいして親しくもない人を必死で励ましてる自分が変だった。
でもAさんを心から応援したかった。
あなたがまず幸せでいなきゃ!と行った時、Aさんの顔が変わった。
半べそ顔から、「そうだよね!まず自分だよね!」と目が輝いたのです。
迷いや不安や不満でいっぱいだった頭を切り替えて、
少しでもベターな選択ができていればいいな〜と思いました。