最近忙しくてなかなかブログを書く機会が無いが,

どうしても書いておきたいことがある。


最近競馬でなにかと話題に挙がるのが審議について。


日本の裁定の基準が

諸外国と基準が異なることは承知だ。

しかし,その基準がグラグラでは関係者のみならずファンも納得することはできない。


最近の例を挙げるだけでも,

昨年の朝日杯FS・今年の武豊騎手の騎乗停止・幸騎手の件・今週の阪神3R。

個人的には全て納得いかない。


「あれがセーフでこれがアウト?」と思うことが多すぎる。



正直,人間が審議を行う以上,最初の段階での誤審は無くならないでしょう。

一瞬の判断が求められるから。それは仕方ない。

審議が高い技術を必要とすることも分かる。


しかし,組織のメンツを保つためかは知らないが,

誤審を力で押し通すのは,間違いでしかない。

競馬会はそこに気付いてないのかな。


必要の無い騎乗停止にあえば,その騎手には経済的損失が伴う。

誤審をすれば,必要の無い損をするファンがいる。


ただでさえ売り上げが落ちているのに,

こんなことを続けていては,既存ファンはもっと競馬から離れるし,

新規ファンもつきにくくなる。


競馬会(特に上層部)に危機感が無さ過ぎでしょう。

1ファンにはそうにしか見えない。


幸Jが不服申し立てをしたり,

武豊Jや藤田J等が声を上げたりして

機運が高まっている今,

審議制度の見直しが不可欠でしょう。


具体例としては,


・裁定基準の具体化

 (主観的表現は客観的表現へ。基準を増やす)

・裁定委員の再教育

・裁定委員を免許制にする。

・裁定委員に騎乗経験者を。

・外部に審議機関をつくる。


などが考えられるだろう。


いずれにしても競馬会が動かなくては意味がない。


騎手の方々が動き始めているが,

それに加えて必要なのはファンの大きな声だろう。


ツイッターなどで審議制度見直しへの声を広げるなどして,

ファンにできることもあるはず。


競馬会が無視できないほど声が集まれば,と心から思う。



このままでは,競馬がどんどん衰退していってしまう。

それ位の危機感を持っていいことだと思います。





このブログで何度も書いているように、競馬を観ていて一番つらいのは馬の故障を見るとき。


ほぼ毎週のように、レースの事故で競走馬が命を落としている。


そんな中、ニュースにもなって注目を集めたのが先日土曜の毎日杯でのザタイキの事故。


騎手の落ち方も危ない落ち方だったので、レース直後から心配していた人も多かったはず。


自分はというと、大学院の専攻研究室でワンセグでレースを観ていた。

馬群が密集していたし画面が小さかったので、最初は誰かが落馬したことしかわからなかった。


リプレイを観て落馬したのはザタイキの武豊騎手で、その落馬が故障によるものだということが分かった。

そして、その故障の仕方から、おそらく馬は助からないことを悟った。


直後に親から「すごい落馬。。武豊急に前に落ちた。直線ゴーかけた所で。」というメールを受け取り、

それに対して自分は、「見ました。故障です。たぶん予後不良でしょう」と返信している。


最悪の結果を予期しながら、どうか無事であってほしいと思うのが大概の競馬ファンの心理で、

それからは定期的に情報をチェックした。


そして結果的に、やはりザタイキには予後不良の診断が下ったことを知る。

症状は、左中手骨開放骨折であった。

開放骨折は骨折の中ではかなり重度のもので、骨が皮膚より外に露出している状態を表わす。

開放脱臼や開放骨折、「開放」とつく症状の場合、ほぼ絶対に予後不良の診断が下る。

ここで少し説明をすると、骨には免疫力がないので、開放骨折を負うと、感染症の危険が生じる。

ただでさえサラブレッドにとっては骨折は命にかかわるので、開放骨折がどれだけ重い意味をもつかがお分かりだろう。



表現するのも嫌だが、サラブレッドが開放骨折を発症すると、いわゆる、皮だけで足が繋がる状態になる。



毎日杯のパトロールビデオを見てみると、ザタイキは転倒後、本能からまた立ち上がって、走り出している。

しかしすぐに痛みに耐えきれず止まってしまう。


先日のオディールの時もそうだが、見ているだけでも何とも悲痛な思いがした。



レースは終始スローペースで進み、最後の直線へ。直線に向いたときはザタイキの前は空いていたのだが、

前の馬がヨレて、進路がなくなる。

スローペースだと、馬に力が余っているため、ハイペースの時よりも直線で瞬発力勝負の競馬になりやすい。

よってその瞬間、馬の脚には負担がかかる。

それに前が窮屈になることが重なっての事故だったように思う。



で、なぜザタイキの件で記事を書いたかというと、

信じられない行為をしたマスコミがいるからだ。


自分はヤフーの競馬ニュースをチェックするのが日課なため、先程もそうしていた。

そこでふと、ザタイキの記事を見つけて、見てみた。


すると、信じられない写真が載っていたのである。


ただ事実を伝えるだけなら、他の写真があっただろうに。

なぜ、あの写真を使ったのか。

競馬ファンならともかく、関係者がどんな思いをするのかも分からないのか。


一瞬ショックで胸が詰まった後、怒りで耐えられなくなった。



リンクは絶対に貼らないが、記事に使われていたのは、

ザタイキが再び立ち上がって走り出そうとする瞬間の写真であった。

脚は普段なら曲がらない方向に曲がり、折れた骨が露出している写真だった。

彼の悲痛な表情が、目に焼きついている。


記事のタイトルは武豊についてだが、武豊は落馬してその後ろで小さく写っているだけ。

それなら写真なんて使う必要ないでしょう。



以前、トウショウナイトという馬が調教中の事故で亡くなった時、

崩れ落ちるトウショウナイトの姿が記事の写真に使われていた。

それを見た関係者は、ひどく怒ったそうである。当然だ。



悲しいし憤りたくなるのは、普段競馬に触れているはずのマスコミが、

その写真を選んだこと。



呆れて物も言えない。いや、苦情の電話でも入れてやろうかと思っている。



さて、騎乗していた武豊騎手は、ヘルメットも飛ばされるほどの勢いで前のめりに落ちたので、

最悪な事態も想像されたが、不幸中の幸いというべきか、

左鎖骨遠位端骨折、腰椎横突起骨折、右前腕裂創の重傷を負ったものの、命は助かった。

だが、しばらく戦列から離れることになった。

本当に騎手という仕事は命懸けだと改めて痛感した。

一日も早く、元気に騎乗する武豊騎手が見たいものである。



ちなみに、競馬場でヤジっているファンがいる。個人的にある程度のヤジは仕方ないだろうと思っているが、

絶対に言ってはいけないことが2つあると思っている。


それは「落ちろ」と「死ね」だ。


実際落馬事故で亡くなった騎手は何人もいるし、

落馬事故が原因で復帰できずに引退していった騎手も多い。


賭博の場でのヤジとはいえ、上記2つだけは絶対に言ってはならない。



さて、今年も春が近づいて、物故馬慰霊祭の季節が近づいてきた。


実はおととし浅草で開かれた時に、行こうと思っていたのだが、

なんだかんだで行かなかった。

去年こそは、と思っていたら、去年は関西圏での開催で、

絶対に今年は行こうと思っていたら、

ことしも関西圏の京都で行われるとのこと。

金と時間があれば行きたいが、今年もそうはいかなそうである。


http://www.jra.go.jp/news/201003/032604.html


今年は、4月19日に去年度の物故馬188頭と、無縁物故馬1霊位の法要が執り行われる予定。


普段これだけ、競馬で楽しませて頂いているのだから、

人間の娯楽のために生まれて、命を落としてしまった馬たちのために

1日を費やしても罰は当たらないだろう。

来年関東圏で行われるなら、是非参列したい。


関西圏にお住みの方は、今年一度脚を運ばれてみたらいかがだろうか?



ちなみに、ある程度有名な馬が事故で亡くなり、ニュースになると、

必ず「競馬なんて無いほうがいい」などの議論が起こるが、


個人的には、以下のように思っている。


俺が競馬をやめて命が救われる馬がいるなら、すぐやめます。



だってそうでしょう。もう長い時間をかけて、競馬はあらゆる国の文化となっている。


それは日本もそう。

いくら事故で亡くなる馬がいても、毎週競馬は開催される。


「競馬なんて無くしてしまえ」で済むなら話は単純すぎます。


問題は、そういう競馬とどのように関わっていくか。

関わらないならそれでもよい。

そして、もし競馬と関わるなら、競走馬の死(見えない死も含めて)に対して、どのように向き合うか。


それが本当の問題でしょう。


と、僕は思っています。