名もない林の中に
そのお店はあった。
都会の喧騒から
少し離れた林の中。
野外劇場で行われた
舞台劇「ロミオとジュリエット」は
アリスの迫真の演技もあり
予想以上の盛り上がりを見せた。
その劇場の外で
レナード・ホフスタッターは
ひとり佇んでいた。
頭をよぎる苦い思い出と
闘うように目を閉じていた。
そこへ
リチャード・ヘンダーソンが
レナードを探しに現れる。
「こんな所にいたのか?」
「・・・すまない・・・」
「・・・・・・」
「情けなくなるよ・・・
僕は、今でも過去に縛られてる・・・」
「お前の話はシェルドンから聞かされた・・・
・・・昔、愛した女性のこともな・・・」
「僕は・・・
欺瞞だらけの人間だ・・・
僕の身体には傷ひとつない・・・
・・・僕に、誰かを愛する資格があるのか?」
リチャードは
レナードの胸倉を掴んで言った。
「愛を見損なうな!
愛を見間違うな!!
お前に『愛』の何がわかる!?
何もわかっていないくせに
お前が『愛』を決め付けるんじゃない!!!」
「・・・・・・」
レナードは
うなだれたまま
リチャードの言葉を聞いた。
「全部背負って生きろ!
恥辱にまみれても生きろ!!
欺瞞にまみれても生きろ!!
苦痛を抱きかかえて生きろ!!
背負うことから逃げ出すんじゃない!!!」
「・・・・・・」
「そんなお前だから
みんなが集まってくるんだ・・・
そんなお前だから
アリスが選んだんだ・・・」
「リチャード・・・」
「そんなお前の淹れるお茶を
みんなが待ってるんだ・・・」
ほとほとと涙を零すレナード。
リチャードは
レナードの肩をがっしりと抱いて
歩き出した。
「レナード・・・
アリスが待ってるぞ・・・」
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