昨日、試験飛行中の自衛隊ヘリが墜落したとのことでニュースになっています。
近年、自衛隊の事故が増えたのではないかと懸念されているそうですが…。
アメリカ軍も立て続けにイージス艦の事故が起こって犠牲者が出ましたよね。
こういうニュースを機に、いろいろな不安を抱く人もいるかと思いますが、ただやみくもに軍隊を非難する方向には向かってほしくないなぁ、と感じています。
アメリカ軍の事故や整備不良は、おそらくオバマ政権下での軍縮予算が、いまじわじわ影響を与えてきているというのもあるのではないでしょうか。
また、自衛隊の事故が多くなって感じるのは、それこそ、近隣の日本を脅かす動きに対応するための活動が増えたためだと思いますし、そのための兵器導入が必要だし、その訓練も増えてきますよね。
これを一概に、アメリカ軍や自衛隊にどうこうしろ、といっても仕方ない様にも感じます。
動揺せずに、気を引き締めて訓練を続けるのは必要なことと思いますけど…。
いずれにしろ、犠牲者には哀悼の意を表したいと思います。
今回のヘリの事故は、「ヘリがぐるぐる回りながら落ちてきた」という目撃証言を聞いたときは、尾翼に異常があったのかと思いましたが、墜落の瞬間の動画を見てみると、どうもローター(主回転翼)が突然止まったように見えますね。
パイロットが対応不能な何かが起こって、突然動力が止まったようにも思えます。
むろん、なにがしかの操縦ミスがあった可能性もあるかもしれませんが、あの日本に十数台しかない貴重な攻撃用ヘリの試乗を担うパイロットですから、技量に問題があったとは考えにくいし、あれだけ民家の周りに畑か田んぼが広がっている地域で、よりによって民家に墜落するのは、パイロットの責務としてなるべく被害の少ないところに機体を持っていこうとするであろうに、よほどのことだと思われます。
防衛省内部ではきちんと調査が行われることと思いますが、軍事機密を含むでしょうから一般に公表されるかはわかりませんけれども、原因が一刻も早く究明されてほしい…。
こういう軍がらみの事故って、横浜での米軍機墜落事故からいろいろ世間的に取りざたされてきたと思います。
厚木の米軍基地を飛び立った偵察機が、不具合を起こして、さっさとパイロットが脱出してしまい、機は横浜の市街地に墜落したことがありました。
通常、飛行機は民間機であれ戦闘機であれ、不時着もしくは墜落の時、被害を軽減するために燃料を投棄するものですが、この米軍機は飛びだったばかりでフル燃料で落ちてしまいました。
落ちた先の住宅街では20棟が炎上し、若い母親と、幼い子供たち二人が犠牲になり、六名が負傷しました。
しかも、ジェット燃料による火傷は筆舌を尽くしがたい苦しみを与えるもので。
子供たち二人が翌日息を引き取ったことを知らされず、母親は死ぬよりつらい治療に堪えて九死に一生を得ましたが、子供たちの死を知らされて、精神的にまいってしまい、数年後亡くなられたという、悲惨な事故でした。
世論が軍に対して沸騰したのはこのことだけではありません。
この事故の際、自衛隊のヘリが墜落地から離れた地点で、脱出に成功したアメリカ兵を回収したことが、親子を見捨ててアメリカ兵だけを助けたように報道されてしまいました。
また、墜落地点に残骸を回収しに来た米兵の一部の態度が住民の感情を逆なでしたこともあったようです。親子の受難した場所で、そのことを知ってか知らずか、ピースサインで記念撮影をしていた米兵までいたようで…。
実際、自衛隊は、今のままの憲法では上からの命令がなければ民間人を救ってはならないんですけどね。
また、沖縄で、小学校に米軍の戦闘機が落ちたこともありました。
こちらはさらにひどい被害があり、小学生を含む死者17名、重軽傷者210名を出し、校舎・公民館・民家30棟余りが全壊もしくは半壊しました。
ただし、パイロットはぎりぎりまで脱出前にできる手段はすべて取り、積んでいた爆弾は海へ投棄し、機も山に落ちるように機首を向けて脱出したのですが、運悪く旋回して小学校へ突っ込んでしまったのです。
今この小学校の生き残りの児童たちは壮年となり、今の沖縄の世論に影響を与える層になっているやもしれませんね。
実際、この小学校の校長になった人もいるそうですし。
この事故も、整備中の試験飛行で起こってしまった事故でした。
先日、ニュースで米軍機の不時着が騒がれている際、民間機が管制官に着陸の許可を取り忘れて着陸したケースがありました。
私はむしろ、そっちのほうが大事件だと思った覚えがあります。
不時着は、前述のような事故を起こさないためになされたもので、むしろ適切なものです。
これに対しても非難がありましたが、無理せず、制御可能なときに海岸に降り立ったのは賢明な判断でした。
無論、整備不良ならばきちんと調査して対処してもらいたいですが、いくら整備していても、車だっていつ調子が悪くなるかは車屋さんの責任ではないのです。
事故というものは、避けようもなく起こるものがどうしてもありうるものだと思います。
ただ、民間機のチェックミスは、万が一、滑走路上で、離陸途中のジャンボジェットと着陸するジャンボがかち合ったら、それこそ数百人の命が一瞬で失われる大惨事です。
軍用機の事故と同じように、民間機の重大インシデントもきちんと報道してほしいと思う私なのでした。