岡田准一のザ・プロファイラー「楊貴妃」見ました~。
まだ結婚もしてないのに「僕は家では仕事の話はしない」とかファンにとっては爆弾発言だったり、
「悪女と言われているけど、彼女の味方で今回は行きたい。きっとピュアな…」とか言って、杉本彩に「騙されやすいんでは?」と突っ込まれたり。
なんだか、年上の女性相手だと、どこか甘えて見える岡田くんです。
同年齢の女性にすら「自分はおじさん」とかそぐわないスタンスを持ってるのに、年上の女傑にはけれんなく甘えて見せるあたり悪質だな(笑)。
そこが素敵なんですが、染み付いた年下気質がありますよね。
で、同年代以下にはお兄ちゃんぶってみる(笑)。
可愛いおとこめ!

楊貴妃は中国唐代の皇帝玄宗の、楊族出身の貴妃です。皇后ではないんですよね。
貴妃とは皇后以外の妃たちの中で筆頭4夫人の一人となります。
楊貴妃の出自がそれほど高くなかったことを考えれば破格の出世ではありますが。

私はもともと楊貴妃にはあまり悪い感情を抱いていません。
番組見て、あれ?悪女だったの?世間的には、とか思ってたりして…。
良くも悪くも、玄宗に愛された女性、というイメージです。
寵愛される妃の常として、親族一同は出世を果たし、戦乱が起こると殺された、いうなればよくあるパターンの女性ではあるのですが、彼女の何が特異であるのかといえば、岡田君が最後まとめていたように、激動の時代の節目に生きていた女性ということがあるとは思うんですよね。
また、権力を握る女性は王子を生んでその子が王になることで権力を得るんですが、彼女はこどももなさないまま15年も玄宗に愛され続ける。
特に敵となる女性を追い落とすために謀略を巡らせたわけでも暗殺したようでもないようなのに。
これが傾国と言われる所以なのだと思います。
彼女の命運を握っていたのは玄宗皇帝でした。

唐の玄宗皇帝は、隋から唐へ時代が移って戦乱の激動が収まり、則天武后によってゆるぎない世になったあと、安定した文化の花開いた時代の皇帝です。
西遊記で有名な三蔵法師は玄宗皇帝の時代の人ですね。
日本からも遣唐使が盛んに派遣され、日本人も高官として厚遇されていた時代でもありました。
彼は、治世の前半は善政を布き、名君と謳われました。
ちょうど楊貴妃はそんな彼が政治に倦み、気の緩んだ時に必要とされた女性だったのかもしれません。
それまで、わき目もふらず、民のために世を治めてきた皇帝が、安定した世を手に入れた後、少し自分の好きなことをしようかな、と堕ちてしまった、というところではないでしょうか。

玄宗皇帝の死後、唐は滅亡へ向かい、安禄山がいなくなった辺境から騎馬民族の侵攻が始まります。ここからは、漢民族と騎馬民族の争いとなり、段々と漢民族の勢力が衰えて、騎馬民族由来の王朝の時代へと変遷してきます。

楊貴妃自身がなしたことは玄宗を楽しませる工夫ばかりで、そこがおろかと言ってしまえばそこまでですが、殺されるとき特に抗いもしないところを見れば、皇帝に心底尽くした従順な妻であったのかもしれません。
傾国の美女でありながらその悲劇性が、後世語り継がれることとなったのだと思います。
それにしても、引用映画の映像、美しかったですね~(#^^#)。
あんな美しい人がいれば、同じ女性でもドキドキしてしまうもの。
そんな人が、ひたすら自分を思って尽くしてくれれば、皇帝も骨抜きになるのも仕方ないかもしれませんね。


私、中国に語り継がれる美女は数知れませんが、特に好きな美女は二人います。
一人は虞美人。
一人は則天武后です。
虞美人は、始皇帝亡き後、覇権を争う項羽と劉邦の時代、項羽の妃であった女性です。
劉邦に敗れて四面楚歌に陥る項羽は彼女を片時もはなさなかったと伝えられています。
実際ははっきりした文献が残されていないのでよくわからないのですが、後世の小説や京劇では項羽のために命を捧げる虞美人が描かれていて、楊貴妃よりなお無私な感じが素敵です。またそんな彼女を愛する項羽がカッコいいの。

三国志の呂布もそうなんですけどね、ものすごく強いのにちょっとおバカで女性に滅法弱くて最後滅んでしまう英雄って、なんかツボなんですよね。
女性を愛しさえしなければ天下をとれたのかもしれないのに、好きな女性を捨てられない人間らしさがたまらんのですよね。
呂布の場合、お相手の貂蝉はやはり絶世の美女なんですけどね。
彼女は策士で、自分の魅力で呂布に父の政敵を殺させるわけです。
で、喜々として「やったど~!」と呂布が帰って来てみると、彼女は自殺しているという、ね。
彼女も女傑であります。
呂布も項羽も劇中では美男子なんですよ。
バカな子ほどかわいいです。

もう一人の則天武后は、唐の三代目の皇帝高宗の妃です。
もともとは太宗に寵愛されていたのですが、その息子高宗にも寵愛されます。
そして太宗の死により世を捨てなくてはならなくなりましたが、女道士となった後、他の妃から高宗の寵愛を取り戻したい高宗の皇后に再びの後宮入りを請われ、高宗の正式な妃となりました。
武則天が(その頃は武照)妃となると、それまで寵愛されていた妃は無論、皇后も高宗に遠ざけられてしまい、武則天が皇后となります。

唐の時代に入り、高祖、太宗と優秀な君主が続きましたが、高宗は凡庸な皇帝でした。
皇后として高宗と政務をとるうち、聡明な武則天は次第に政治に実権を握ることになります。
そして、高宗の死後、中国で唯一の女帝となるのです。

面白いんですが、則天武后は女性でありながら男性から皇位を簒奪し自ら皇帝となったことで、後世非常に悪女の評判が高いんですが、その治世は長く、しかも平和に国を安定させたことは誰も否定できません。女性の治世って、結構名君なことが多いんですよねぇ。
エジプト唯一のハトシェプスト女王しかり、イギリスのヴィクトリア女王、エリザベス女王、オーストリアのマリア・テレジア(マリーアントワネットの母)しかり。
エリザベス女王は「バージンクイーン」の異名をとり、イギリスの独立と権力を守るため、誰とも結婚しませんでしたが、ヴィクトリア女王とマリアテレジアは幸せな結婚をしています。旦那が優れた人物でした。
ハトシェプスト女王と武則天は息子に恵まれなかったかな。
すご過ぎる母親を煙たく思っていたようで。
ハトシェプスト女王なんて、葬祭殿がエジプト観光の目玉なんですが、彼女の名前は息子が全部削り取ってたりするんですよ。
歴史は後世に作られるって感じもしますね。

ちなみに、今回のプロファイラーで紹介されていた楊貴妃役のファンビンビン、則天武后も演じています。こちらもすごく面白そう!