ども。へーさんです。すっかり秋も深まってきました。そして新型コロナウイルス感染症もじわりじわりと感染者が増えてきています。インフルエンザとの同時流行も懸念されています。もう手を変え品を変え、という感じですよ。第８波は大きな波となりませんように。そんな所で1587曲目。

CASCADE「メモリーズ」

画像は収録の『ピアザ』

90年代後半から2000年代に、ビジュアル系とテクノロックを掛け合わせたような音楽で異彩を放ったバンド、CASCADEの８枚目のシングル曲。

四分音符で刻まれるギター音とマイナー調のメロディで不穏な印象のAメロＢメロと、流麗なキーボードの差し込み音が鮮やかなポップ調のサビ、その対比がとても鮮烈な曲です。全く違うタイプのメロディを♪クチビルに～　と一節で飛び越えています。

この♪クチビルに～　、特になんの工夫もされておらず、バックの音が一瞬途切れるだけでけっこう強引に転調しているのですが、特に違和感もなくスルッと繋がっているのがけっこう不思議です。また、Aメロはどちらかと言うと淡々としたメロディ(Ｂメロは少し盛り上がりがありますが)と、サビのキャッチーで耳に残りやすいメロディとの対比がここでも際立っています。

ボーカルのTAMAさんの声は一聴くねくねした感じで、ポップ調のメロディではおもちゃのような楽しい響きで合うのはわかります。ただ、マイナー調のメロディでもその声が切なさを帯びて意外とマッチしています。二つの曲調を持つこの曲にも対応させているのは、なかなかの表現力ではないでしょうか。

歌詞はイメージ的なフレーズが多いですが、♪記憶から消してしまえば～　とか、♪夢を見るまで君と眠ろう～　とか、♪凍えたカプセルの中で　この世の果てまで突き抜けて～　といった、刹那的て退廃的で恋愛を歌っているようです。♪秘密と蜜を絡ませて～　という言葉からも、許されない関係だけどこのまま時を止めて、みたいな背徳的な印象も見え隠れします。サビはそんな暗さなど全く感じさせないポップさなのですが。

この曲もそうですし、CASCADEというバンド自体もカテゴライズが難しい、妙な存在感を持っていたと思います。容姿からビジュアル系やおしゃれ系デジロックのバンドにくくられる事もあったようですが、どれも微妙に違う変な立ち位置のバンドでした。一度解散していますが、2009年にベースのMAKKOさん以外の３人で再結成をして、現在まで活動しています。

「メモリーズ」CASCADE

作詞：TAMA

作曲：MASASHI

編曲：CASCADE／藤井丈司