ある日の昼下がり。
事務所で仕事をしていると、無線のコールに気づく。
「高松氏」 俺の無線機のディスプレイにそう表示されている。
「もしもし?」
「今日行きましょうか」
「え?どこへ??」
「パイレーツに決まってるじゃないですか」
「え?いや、俺今日ちょっと忙しくてな…」
「後で事務所寄りますからね」
「え?いや、あの…」
ガチャッ ツーッ ツーッ ツーッ ……
恐ろしい程にマイペースな男である。俺は呆然として無線機を置いた。
そんな事も忘れて、夕方の忙しい時間を迎える。
出荷や伝票整理に追われていると、急に事務所のドアが開いた。宅配便の集荷かと思いドアの方を見ると、
ロンパールームに出ているっぽい服装の佇まいの男が立っている。
「おお、高松氏…」
「さ、行きましょうか」
「いや、まだ忙しくてな…」
「えーはよして下さいよー」
何というマイペースな男よ高松氏。
その日のうちに切り上げなければいけない仕事をなんとかこなし、高松氏を促す。
「何とか終わったわ、事務所戻って来てまだやる事あるし、さっと行こうか」と言うと
「え?もう行くんすか?」
恐ろしくマイペース。
行く宛もなく事務所を出てみると、近くでなんとか済ませたい俺の脳内に、以前名古屋からの来客があった時に、食後に立ち寄ったケーキ屋の記憶が甦った。
お店の名前は「LE PINEAU」(ル ピノー)。
北堀江と南堀江の丁度堺にあたる場所、大阪市民の動線でもあるなにわ筋を西へ渡ってすぐの所にある。
かなり有名なお店らしく、いつも前を通るとたくさんの人がケーキを選んでいるのが見える。
そして奥には喫茶スペースがあり、コーヒーを飲めるように作られている。
前にその名古屋からの刺客…いや来客時に初めて入ったのだが、確かコーヒーがとてもおいしかった記憶があるのだ。
そしてその時には確かibookを持って行っておらず、悔しい思いをした気がした。
お店はどことなくメルヘン?調で我々パイレーツの入店をまるで阻むかのような門構えでもあるが、そういう場所にこそいいスポットが隠されているに違いない。我々は大海原へ出航するかの如く、男二人では到底入りにくい扉を開いた。
前に来た時も思ったのだが、店員さんの服装がメイドっぽい。昨今のメイドブーム以前からこの格好なのだろうが、こちらの方がシンプルではあるが、老舗である雰囲気がそう感じさせるのか、風格もあり極めて厳かである。
間違っても「萌え」などではない何かがあるのだ。
高松氏は店内に入る前からテンションがなぜか上がってしまい最高潮の状態である。
「いや~なんすかここやばいっすね~、ああ~俺何頼もうかな~ケーキセットあるやん!ええな~これにしようっと!」
思えば長い間ケーキなど食べていない俺はそんな誘惑に負けるはずもない。高松氏の持つメニューに目をやると
「ケーキセット600円」
の文字が目に入る。
「ご注文お決まりでしょうか?」
「俺ケーキセット!!」
「…俺もケーキセット」
簡単に誘惑に負けてしまう俺がそこにいた。
ここはケーキを注文すると、入り口付近のケーキのショーケースから自分の好きなケーキを選べる仕組みだ。
我々は席を立ちたくさんのケーキが並ぶショーケースの前に立った。
ケーキをチョイスする高松氏。何しろ外したくはないので慎重に見極める事が肝心だ。恐ろしい程に冷静な高松氏。
自分好みのケーキを選び、席に戻るとほどなくして先ほど選んだケーキと飲み物が運ばれて来る。
このセットで600円は安いかも知れないな…そう思いながらibookを起動する為の準備に入る。
二人ともイチゴ系。紅茶は高松氏の物。高松氏撮影。
早速ibookを開いている高松氏に「どない?」と聞くと
「どれどれ、ちょっと待って下さいよ…えーと…」
「3つあります!」
との返事。お、これは期待出来るな~と思いながら俺もibookを起動してみる。
「え?今電源切ってました?だっさー…」
電源切ってんのがダサイとはどういう感覚なのだろうか…。
それはさておき、どれどれ俺も早速スポットをチェックしてみよう。
久々にかすみちゃんでも使うか…
「3つとも鍵付いてるで」
「まじっすか!?うっそー!」
「ほんまやー!どれも繋がりませんやん!ああああああネットしたい!したい!」
天の邪鬼な性格、いや天の邪鬼が彼の代名詞と言ってもいい程の高松氏はいつも繋がらないと猛烈にネットしたくなるという症状に見舞われる。この日もしかり、彼のネットしたい病が発動してしまった。
しかしここは堀江。最近ではセレブの街として知られ、90%ぐらいの人が今流行の小さい犬を引っ張っている街だ。
この街は我々パイレーツを受け入れてはくれないと思い知らされた瞬間でもあった。
店内のメイ…スタッフの冷たい視線…入り口でケーキを選ぶ子連れの主婦の蔑むような視線…奥のケーキ工房からこちらに注がれる槍の様に厳しい視線…それらが一手に背中を向けた高松氏を飛び越えてこの俺に注がれているのだ。
こうなったらヤケ食いじゃー!的に紅茶を飲む高松氏と、それを涙を堪えながら写真に収める俺。
食いまくったるどー!オルァ!オルァ!
残念ながらここではスポットを見つける事は出来なかった。しかし、この堀江をいう土地のルールを薄々身体で覚えて来たのか高松氏は以前のように店内をうろうろする事もなく、精神的に一回り大きく成長したようだ。俺は目頭の熱くなる思いで店を出た。帰路につきながら、高松氏とこの萌え…もとい、ケーキ屋のシチュエーションから見て、必ず近所に無線LANは存在するとの読みで近日中のリベンジを固く誓いあって、この日の航海は幕を閉じたのだった。
事務所で仕事をしていると、無線のコールに気づく。
「高松氏」 俺の無線機のディスプレイにそう表示されている。
「もしもし?」
「今日行きましょうか」
「え?どこへ??」
「パイレーツに決まってるじゃないですか」
「え?いや、俺今日ちょっと忙しくてな…」
「後で事務所寄りますからね」
「え?いや、あの…」
ガチャッ ツーッ ツーッ ツーッ ……
恐ろしい程にマイペースな男である。俺は呆然として無線機を置いた。
そんな事も忘れて、夕方の忙しい時間を迎える。
出荷や伝票整理に追われていると、急に事務所のドアが開いた。宅配便の集荷かと思いドアの方を見ると、
ロンパールームに出ているっぽい服装の佇まいの男が立っている。
「おお、高松氏…」
「さ、行きましょうか」
「いや、まだ忙しくてな…」
「えーはよして下さいよー」
何というマイペースな男よ高松氏。
その日のうちに切り上げなければいけない仕事をなんとかこなし、高松氏を促す。
「何とか終わったわ、事務所戻って来てまだやる事あるし、さっと行こうか」と言うと
「え?もう行くんすか?」
恐ろしくマイペース。
行く宛もなく事務所を出てみると、近くでなんとか済ませたい俺の脳内に、以前名古屋からの来客があった時に、食後に立ち寄ったケーキ屋の記憶が甦った。
お店の名前は「LE PINEAU」(ル ピノー)。
北堀江と南堀江の丁度堺にあたる場所、大阪市民の動線でもあるなにわ筋を西へ渡ってすぐの所にある。
かなり有名なお店らしく、いつも前を通るとたくさんの人がケーキを選んでいるのが見える。
そして奥には喫茶スペースがあり、コーヒーを飲めるように作られている。
前にその名古屋からの刺客…いや来客時に初めて入ったのだが、確かコーヒーがとてもおいしかった記憶があるのだ。
そしてその時には確かibookを持って行っておらず、悔しい思いをした気がした。
お店はどことなくメルヘン?調で我々パイレーツの入店をまるで阻むかのような門構えでもあるが、そういう場所にこそいいスポットが隠されているに違いない。我々は大海原へ出航するかの如く、男二人では到底入りにくい扉を開いた。
前に来た時も思ったのだが、店員さんの服装がメイドっぽい。昨今のメイドブーム以前からこの格好なのだろうが、こちらの方がシンプルではあるが、老舗である雰囲気がそう感じさせるのか、風格もあり極めて厳かである。
間違っても「萌え」などではない何かがあるのだ。
高松氏は店内に入る前からテンションがなぜか上がってしまい最高潮の状態である。
「いや~なんすかここやばいっすね~、ああ~俺何頼もうかな~ケーキセットあるやん!ええな~これにしようっと!」
思えば長い間ケーキなど食べていない俺はそんな誘惑に負けるはずもない。高松氏の持つメニューに目をやると
「ケーキセット600円」
の文字が目に入る。
「ご注文お決まりでしょうか?」
「俺ケーキセット!!」
「…俺もケーキセット」
簡単に誘惑に負けてしまう俺がそこにいた。
ここはケーキを注文すると、入り口付近のケーキのショーケースから自分の好きなケーキを選べる仕組みだ。
我々は席を立ちたくさんのケーキが並ぶショーケースの前に立った。
ケーキをチョイスする高松氏。何しろ外したくはないので慎重に見極める事が肝心だ。恐ろしい程に冷静な高松氏。
自分好みのケーキを選び、席に戻るとほどなくして先ほど選んだケーキと飲み物が運ばれて来る。
このセットで600円は安いかも知れないな…そう思いながらibookを起動する為の準備に入る。
二人ともイチゴ系。紅茶は高松氏の物。高松氏撮影。
早速ibookを開いている高松氏に「どない?」と聞くと
「どれどれ、ちょっと待って下さいよ…えーと…」
「3つあります!」
との返事。お、これは期待出来るな~と思いながら俺もibookを起動してみる。
「え?今電源切ってました?だっさー…」
電源切ってんのがダサイとはどういう感覚なのだろうか…。
それはさておき、どれどれ俺も早速スポットをチェックしてみよう。
久々にかすみちゃんでも使うか…
「3つとも鍵付いてるで」
「まじっすか!?うっそー!」
「ほんまやー!どれも繋がりませんやん!ああああああネットしたい!したい!」
天の邪鬼な性格、いや天の邪鬼が彼の代名詞と言ってもいい程の高松氏はいつも繋がらないと猛烈にネットしたくなるという症状に見舞われる。この日もしかり、彼のネットしたい病が発動してしまった。
しかしここは堀江。最近ではセレブの街として知られ、90%ぐらいの人が今流行の小さい犬を引っ張っている街だ。
この街は我々パイレーツを受け入れてはくれないと思い知らされた瞬間でもあった。
店内のメイ…スタッフの冷たい視線…入り口でケーキを選ぶ子連れの主婦の蔑むような視線…奥のケーキ工房からこちらに注がれる槍の様に厳しい視線…それらが一手に背中を向けた高松氏を飛び越えてこの俺に注がれているのだ。
こうなったらヤケ食いじゃー!的に紅茶を飲む高松氏と、それを涙を堪えながら写真に収める俺。
食いまくったるどー!オルァ!オルァ!
残念ながらここではスポットを見つける事は出来なかった。しかし、この堀江をいう土地のルールを薄々身体で覚えて来たのか高松氏は以前のように店内をうろうろする事もなく、精神的に一回り大きく成長したようだ。俺は目頭の熱くなる思いで店を出た。帰路につきながら、高松氏とこの萌え…もとい、ケーキ屋のシチュエーションから見て、必ず近所に無線LANは存在するとの読みで近日中のリベンジを固く誓いあって、この日の航海は幕を閉じたのだった。
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