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へたれの怖怖日記

怖いのほんと苦手なのに、怖い話が大好きという
矛盾に苦しむへたれ男児のつらつら日記です。

いまはもう30代も後半に突入している俺ですが、
20代の終わりごろに、正規の仕事を辞めてフリーターしてた頃があったんだ。
夜のほうがいい金になるんで、コンビニの深夜アルバイトをしてたりしてね。

ある大手に勤めていた時のこと。
俺の入る23時からのシフトには、主に梶っていう体育大生と、沙耶っていう

女子大生がいたんだ。


梶はまあ鍛えてるだけあって見た目からごついヤツで、性格も陽気だった。
一方で沙耶ちゃんは、陰気ってわけじゃないが、無口で会話は弾まなかった。

顔はめちゃめちゃ可愛かったんだけどね。

朝までの俺たちと違って、沙耶ちゃんは0時上がりだった。
近くに住んでるらしかったけど、なんとなく心配ではあった。
若い女の子だし。梶もいつも「気をつけて帰れよ」って声かけてたな。

 

たしか、バイトを始めて半年ぐらいの頃だったと思う。
夕方のシフトのヤツが欠勤したとかで、俺にヘルプの要請が来たのよ。

17時から0時まで。梶と沙耶ちゃんはいつもどおりだったから、その日は

沙耶ちゃんと同時に退勤することになったわけね。
一緒に店は出たんだけど、改めて『送ってくわ』ってのもなんか

言いづらかったんで、彼女のあとをついて歩いたんだわ。

逆方向だったんだけどww

 

ちょっと歩くと左手に公園、つか、グランドがある。なんでか彼女、

その敷地に入ってく。入り口は一つしかないから、中を突っ切って

近道するとも考えられないんだが。グランドの一角に、トイレと雑草に

まみれたブランコがあった。


『ああ、トイレか』と思って、グランドの入り口で立ち止まって待った。
だけど彼女、ブランコに行くんだ。2つある右側に座って、なんつーか・・・

アンニュイな雰囲気を漂わせてる。
思い切ってそばに行って聞いてみた。
「何してんの?帰らんの?」
そしたらさあ彼女、隣りのブランコを見ながら言うんだよ。
「この子と話をしてあげないと、淋しがって他の子どもを連れて行っちゃうから」
誰も乗ってないんだけどねえ、そのブランコ。
でもまあ俺も、『沙耶ちゃんって見える人だったんだな』ぐらいで納得した。
ほら、こんな板に来てるぐらいだからwww

面倒なんで、後は会話形式にさせてもらうな。
「何歳ぐらいの子どもよ?男?」
「小学5年生・・・って、何歳?男の子だよ」
「なんで死んだの?交通事故?」
「ううん・・・池に落ちたんだって・・・」


沙耶ちゃんの通訳によると、その坊主は母子家庭で、母親も夜遅くまで

仕事だったようだ。ある晩、1人で留守番をしてた坊主は、近所の沼に

ザリガニを取りに行こうと思いついた。昼間にでかい蟇蛙をつかまえて

いたんで、エサにすればかなりの釣果が期待できるはずだった。
泥に足を取られて沈んだ坊主の体は、数日浮き上がることも

できなかったらしい・・・俺は思わず、空いているほうのブランコに

向かって言った。


「ドジだなあ坊主(笑)」
すると右腕のあたりから、子ども特有の甲高い声が聞こえた。
「しね」
全身に鳥肌が立ったな。
沙耶ちゃんが慌てた様子で、俺の右腕にしがみついてきた。
そのまま公園の外に引っ張っていかれて、真剣に叱られたよ。
意外にいい人だね、彼女。
職なしでごく潰しの俺なんか、憑り殺されようが誰も悲しまないんだがww

幸いというか、坊主は俺にも公園利用者にも何もしなかった。
沙耶ちゃんが言うには、それ以来姿が消えたらしい。
いまでもたまに花を供えてるのは、恥ずかしいから内緒な。