へたれの怖怖日記 -135ページ目

へたれの怖怖日記

怖いのほんと苦手なのに、怖い話が大好きという
矛盾に苦しむへたれ男児のつらつら日記です。

・「みえるひと」な女友達Aの言葉では、Bの身体を出入りしている何か
 普通の霊と違うものがいる(寄生虫?居候?みたいな状態らしい)。


・B本人は気づいてないが、霊的なものは大抵それを避けるから、Bは心霊体験できない。


・とりあえず当時のAが知る限り、ソレはBを守っていた。


・でもAが感じる気配では、とても善意の守護ではない。っていうか悪い感じらしい。


・ 強力な霊とBのナニかが戦うときにはB当人は爆睡するっぽい←Aの推測

 

何でも、Aが、もう1人学生時代の友人(Fとします)に誘われて、
二人でB宅を訪問してきたそうです。
「何か」が今もいるのか、そして何よりBの子供は普通なのかどうかが

知りたかったと。最も帰ってきた後の話を聞くと、
「……行くんじゃなかった……」と言ってましたが。

 

Aによると、Bは郊外のやや長閑なところに住んでいて、喜んで

迎えてくれたそうです。休日だったので、B夫と子供も居て

挨拶したと言っていました。

 

そして結論から言って、やっぱり「何か」はBの中に居たそうです。
……しかも、A曰く「育ってた」と。

 

大きくなってたと言うか強くなってたと言うか、ハッキリしてきてたと言うか。
「やっぱり形とか顔とか、そういう輪郭は見えないんだけどね。
霧だとしたら『濃くなってた』、人影だとしたら『立体的になってた』って感じで。
気配も強くなってて、撒き散らす匂いっていうか放射能みたいなものが

増えてた感じで、正直ぞっとした」

 

また、AとFが最寄り駅に降りたときから、街そのものが酷く嫌な感じが

漂ってたそうです。
「みえるひと」でないFさえも落ち着かない様子で、
「……何だか変わった感じするとこだね。子供が多いわりに

静かだからかな?少し早いけど、お店入るよりBの家いかない?」
と言うほどだったと。


Aは、Bの家に向かう間の短い道すがらに、霊的に酷く悪い状態のものを

驚くほど大量に見たそうです。酷い死に方をして浮かばれないんだ、

と一目で判るのとか、性質の良くない動物霊とかがもうウヨウヨしていたと。


正味の霊だけじゃなく怨念じみた空気の塊?みたいなものとか、

物凄く古そうな嫌な気配とか、得体の知れないモノが寄って来たりして、

本気で怖かったそうです。

 

「街が邪念にまみれてるみたいで怖かった。1人だったら

引き返してたと思う。でもFに霊の話とかして変だと思われたくなかったし、

もう後ろに憑いてきちゃってるのも居たみたいだったから。Bの家に行けば

何とかなる、と思って、そのまま行った」

 

それで急いでB宅に着くと、その中には相変わらず何も近寄れないらしく、
B宅内はBの背負ってる『何か』の気配が充満してる他は綺麗なもので、
むしろホッとしたそうです。

「B夫もBの赤ちゃんも普通だったよ。ただ、そっち系について

物凄く感受性がない人だった。元からいいものも悪いものも

全然感じなくて、だからどっちの影響も受けなくて、一生『こっち』の

現実の世界だけと関わって生きる人が、たまに居るんだよね。


Bと一緒に暮らすなら、そうでないとダメだと思う。B夫も赤ちゃんも、

守護霊が見えなかったから。守護霊もあの家に居られなくて、

いなくなったんじゃないのかな」

……守護霊いないって、大丈夫なんだろうか。


2人がBと居ないときは守護霊が戻って来てるのか、と

Aに訊いてみましたが、そこは解らんとのことでした。

何はともあれ、久しぶりに会ったんで互いに近況報告したら、
Bの趣味、と言うか怪談好きも健在だったそうです。

そこそこ新しく、立地も良く広々として立派な部屋だったので
Fが誉めると、何とB宅は、札付きの瑕疵物件だったらしく……


結構な頻度で住人が変わるせいで、大して古くもないのに

B一家は10何番目かの住人だそうでした。中で事故や自殺が

複数あり、他にも不幸があって出て行った住人がいたりして

評判の部屋になってしまっていたため、家賃は破格の安値だったとか。

「不動産屋さんも案内してくれたけどあんまり勧めて来なかったしね~。


近所の人も知ってて、『本当に大丈夫?あのね、何かあったら無理に

我慢しないで引越した方がいいよ。こんな話して悪いんだけど、その部屋、
色んなことがありすぎるから……気をつけてね』って心配されちゃったよ。
でも、この人(B夫)そういうの全然気にしないし、私はむしろ幽霊いるなら
見てみたいし~」

のほほんと笑いながらBは言ったそうでした。


「でも結局、そういうのって話ばっかだよね。うち、もう半年住んでるけど、
全然なにもないよ。近所でも事故とか結構あるし、踏み切りではねられちゃった
子供もいたし、気をつけなきゃ危ないのは同じなんだよね。偶然この部屋の
人に集中したから、呪いの部屋にされちゃったんだろうね」

……Fは「そうだよね」と頷いたそうですが、Aは顔が引きつるのをこらえるのが
やっとだった、と言っていました。

 

A曰く。おそらくその部屋は、本物の『呪いの部屋』だったんだと

言う事でした。何かのきっかけで悪いものの溜まり場になってしまう場所、

というのがあるんだそうです。霊的な位置関係とか、近くに沼や海が

あるとか、その方向とか色々なことのせいで、悪いものを吸い寄せて

溜め込んでしまうポイントができてしまうことがある、と。


「それが建物の中で気密性の高い部屋だったりすると、よけいに

溜まったものが出てかなくなるの。そこに悪いものが溜まるから

他の場所が綺麗でいられる、ってこともあるから。

……そこにBが住み始めたんだよね、いきなり」
それは、つまり。

 

Aの表現したところでは、

「町中のゴキブリとかムカデとかスズメバチとかを

全部集め続けてきた害虫で一杯の小屋の真ん中で、

不意に特大のバルサンをたきまくったようなもの」

だそうでした。そしてAは、こうも言っていました。
「Bのことが嫌いなんじゃないけど、2度とBの家にもあの辺りにも

行かないと思う。……もっと散らばったりして落ち着いた状態に

なるまで、何年もかかりそうな様子だった」

 

Aの言では、B夫とBの子供は大丈夫だろうということでした。
一緒に暮らしている限り、Bの「何か」の気配が色濃く染み付き続けるから、
大概のものは避けていくし、そもそも霊的なものに害を受け難い性質だから、と。
現に、帰りにB夫が外出のついでに駅まで送ってくれた時には、

道にたむろしてる悪いものはむしろ避けていたそうで。

……問題は、おそらく付近に住んでいる人だろう、と……
何か、後味の悪い話になってしまいました。

読んでくれた人、どうも。
後味悪くてすまん。

 

俺も何かスッキリしなくて、吐き出したかったんだ。
多分、Aもそうだと思う。
Aは「みえるひと」だけど、だからって漫画に出てくる
スーパー霊能者みたいなことはできないんだと言ってました。
絶対に勝てない、何もできないと解ってるものには

関わらないようにしてる、いちいち手を出してたら

今まで生きのびてない、ともらしたのを聞いた記憶があります。

 

ただ、何も見えないのに危険は自動的に防がれる

Bは羨ましくないか、と重ねて尋ねた時には、重そうにハッキリと

首を横に振ってました。

 

「絶対に、思わない。あんなモノに身体の中に住みつかれて

自分で気づいてない、なんて死んでも嫌。上手く説明できないけど、

結果として助けて貰ったことがあっても、アレは感覚が受け付けない」

とのことです。

 

普通の霊と何が違うのか、との質問に対する答えは、
「情念がない」でした。

「違和感については説明し難いけど、解りやすく言うとね。
霊ってある意味で心が剥き出しで存在してるようなものだから、
人でも動物でも、必ず何か色、っていうか想いが見えるんだよ。
『生きたい』とか『苦しい』とか、シンプルなのでも。
その情念に基づいて、こっちの世界で祟ったり守ったりするんだから。
でもBのアレは、それが見えない。何か意思があって能動的に動いてる
のは解るんだけど、その源になる想いが一貫して全く無い。
Bの中から出てくる時も、Bの中に戻ってく時も、井戸から出てきたモノと
ぶつかってた時でさえ、全くなかった。
霊的なものとしては、絶対にありえないことなんだよ」

……本当に何なんだろうか?