まなびと【医師・読書家】
理想のコーヒーとは。
背の高いカーテンに覆われた、
少し入りづらい店。
「焙煎」の香ばしい香り。
大がかりな機械音を背景に、
繊細に豆を選別する店主がひとり。
コーヒーは飲めない。
見慣れたコーヒー豆色もない。緑色の生豆。
注文を受けてから、生豆を「焙煎」し提供。
初めての体験だった。
理想の豆とは何か、という問いを、
「シンプル」な形で、提供しているお店。
自分の常識が、間違っているとしたら。
いつか真意を問うてみたい。
無口な店主に、人見知りな僕。
雑味のない、「シンプル」を求めて。
賢者は、複雑なことをシンプルに考える。
ソクラテス
妻が、僕の服に、コーヒーチェリーの刺繍中。
僕から妻へ。
豆の数は、「奇数」にしてほしい、と伝えた。
僕は「奇数」、それも「素数」が好きである。
6n±1で表現される、孤高な数に魅了される。
昔から、「奇数」に惹かれる。
数の要望はあっても、
「奇数」に、とのオーダーは、
新しい視点らしい。
「素数」とコーヒー。
自分だけで割れる数。
自分と豆だけの時間。
僕にとっての、理想の世界。
異なる分野をつなげることでしか、
新たな発見は生まれない。
クリエイティブが重宝される昨今、
別の分野で活かすには、との問いは、
非常に意味を持つ。
IphoneもTeslaもFace bookも。
どう、異なる分野をつなげるか。
ふとした時に、また考えたい。
孤独は、創造性の温床である。
アルトゥル・ショーペンハウアー
体調を崩し、入院したことがある。
初めての、何もしない時間。
激務に追われ、
自分を見失っていた。
自分がやりたいことは何か。
何が幸せなのか。
人生とは何なのか。
物思いにふけることが多くなった。
難解な問題には、「勇気」をもって、
一度、集中から「離れる」ことが重要とされる。
拡散思考と呼ばれ、
目の前の集中から、一歩引いてみることである。
一歩「離れる」こと。
何もしない時間は、必然だったのかもしれない。
「離れる」ことで、
目の前の世界が全て、ではなかったと知る。
何気ない日々が、幸せである。
なぜなら、2度と今日はないのだから。
言葉で、記すことが、刺激にもなる。
人生は、4000週、30000日。
自分がやりたいことは何か。
「勇気」をもって。
死を見つめたとき、人は本当に生き始める。
トルストイ
部活、病院実習、そして恋愛。
度重なるイベントに疲弊し、
前向きになれなかった時。
何かを変えなくては、と、
1冊の「本」を手に取った。
それ以来、読書に「没頭」。
「本」を読むと、
違う見方ができるようになる。
「本」を読むと、
自分と客観的に向き合うことができる。
「本」を読むと、
行動に、人生に、意味を見出せるようになる。
楽しいことも、辛いことも。
過去を、今を、理解できるようになった。
それから、時間を見つけては、
「本」を読んでいる。
学んでいくと、必ず、「本」と出会う。
そして、大切な言葉と出会う。
これが、僕が「本」に「没頭」したきっかけ。
本のない家は、
窓のない部屋のようなものだ。
ハインリッヒ・マン
「あれはなんで止まらないの?」
いきつけのカフェの「振り子」時計を指さし、
妻が問う。
なぜ、「振り子」が動き続けるか。
意外と、説明できない。
「振り子」の周期は、振り子の長さに依存する。
基本的に、
「振り子」が揺れる時、
運動エネルギーが保存され、揺れ続ける。
空気抵抗や摩擦でエネルギーは失われるが、
歯車やばねが、エネルギーを補い、
正確に、時間を刻むことができる。
正直、「6歳」の少年に説明できないと、
理解したとは言えない。
失礼。妻に説明できないと。
これが、簡単ではない。
身の回りには、
僕が、説明できないことが多い。
どうやって、冷蔵庫が冷やされるか
なぜトイレが流れるのか、
Wifiの原理、、
謙虚と学びは、表裏一体。
知らないものを知れば知るほど、
謙虚になる。
謙虚であれば。
「6歳」の少年にも、正面から向き合おうと思う。
謙虚とは、他人の意見に耳を傾け、
学び続ける姿勢である。
アリストテレス

