僕はこのブログに登場する架空の人物の一人だ。
故に僕は神の気持ちが赴くまま酷い目に遭ったり良いことがあったりぶっ殺されたりぶっ殺したり誰かに優しくしたりする。
僕に拒否権はない。全ては僕を動かす作者の裁量だ。
今日僕は推理小説の舞台に訪れている。
推理小説は楽だ。死んだり殺されたりする以外は考えている振りをすればいいのだから。もし僕が犯人でもトリックは作者が考えてくれるし、探偵でも謎解きは作者が進めてくれるからだ。
とかなんとか言っているうちに一人死んだ。
僕は殺人を犯した記憶がないのでこの時点で犯人役ではないなと安堵する。多分探偵役でもないだろう。いかにも探偵っぽい出で立ちの人が現場検証をしているのを見たからだ。
すると僕は第2以降の被害者か、ただのモブとなるわけだ。らくちんらくちん。
……。
…………。
あれ?
これ以降僕の記憶がない。
今僕がどこにいるのかも分からない。
僕がどの場所からこの文章を書いているかも分からない。
ちくしょう、作者の奴ストーリーを進めることに心血を注ぎすぎて僕という登場人物を忘れたな。僕を描写するのを忘れたな。
この場合僕は詰みだ。モブにすらなれない、ページとページの合間で永遠に漂流する事になる。時計の針は動かない。誰かが殺されたりもしない。僕の時間だけ止まったままだ。
このストーリーは「贖いの狼」と題されていた。結局狼は誰だったのか、そしてその狼はちゃんと贖えたのか、僕にとっては永遠の謎だ。