ドグラ・マグラ全部読みました。
読後感はあまり良いものではありません。
確かに三大奇書の一つと言われるだけあって、全く普通の推理小説ではありませんでした。
博士が二人出てきて堅い話をするのかなと思うと、いきなりリズムをつけて呼び込みのような口調で長い話をしたり、活動写真の弁士になってスクリーンに映るものの説明をしたり漢文を説明したりとおよそ普通の小説では考えられないような形態になっています。
内容も主人公が精神病院の一室で目覚めて、自分に記憶がないと気づいたところから始まり、わずか数時間のあいだに聞いたり読んだりすることが中心になっているのですが、その会話や読み物の長いこと。
楊貴妃まで出てきて、本筋に関係あるのかなと途中で疑問に感じるのですが、実は全てが主人公に関係があるとわかってきます。
祖先の記憶が甦るという「心理遺伝」という学説は、現代ではあるのかないのかは分かりませんが、この話の中では説得力のある真実のように語られます。
前半はクリスティの小説のように超長い説明が続き我慢が強いられますが、後半はこの先どうなるのだろうと早く最後まで読みたくなります。
ただ、クリスティと大きく違うのは、事件をハッキリ解決してくれないこと。
書評の中には、解決されないからこそいろんな解釈ができて素晴らしいと評する人もいますが、僕は最初に書いたように読後感は良くありませんでした。
でも世間でよく言われるように「読むと頭がおかしくなる」とは思いませんでした。
自分でも知らないうちにおかしくなって、この文章を書いていたら別ですが。笑
少なくとも読んで元気が出る小説ではなく、読んだ後で筋トレに行く予定をキャンセルしようかなと思ったくらいです。(結局行きましたが 笑)
しかし、夢野久作の渾身の作品だとは認めます。作家デビューから亡くなるまでの約10年のほとんどを費やした作品という値打ちはあると思います。
人によって好き嫌いは出るとは思いますが、読書家だったら一度は読んでおいたらいい作品だと思います。

