人口に膾灸(こくさん)されている、平家の亡霊にまつわる伝説に「耳なし芳一」がある。昔、阿弥陀寺に養われていた盲僧、芳一は琵琶の名手であったが、 一夜武装した侍に誘われて、何か怪し気な館に連れこまれ、女官、武将たちの居並ぶらしい広間で、所望されるまま得意の平家琵琶「壇ノ浦」のくだりを演奏させられた。その技の巧みさに芳一は毎夜招かれたので、不思議に思う和尚があとを追わせると、芳一は阿弥陀寺の墓地のなかへ入って行き、平家の七盛墓の前に座って一心に琵琶をかきならしていた。事の次第を知った和尚は、これぞまさしく亡霊の仕業――亡霊にとりつかれたのに違いないと、芳一が連れ出されぬよう魔除けのため、その全身に経文を書きつけてやった。
 その夜もまた亡霊があらわれ芳一を連れ出そうとしたが、経文の御利益で連れ出されず命だけは助かったが、和尚が経文を書き忘れた両の耳だけはもぎとられてしまったという。そして、その後、この噂は噂を呼んで、芳一は高名な琵琶法師になったということである。
 
平家の七盛墓の入口近くに「芳一堂」があります。
 
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「琵琶法師」の像が安置されています。
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「宝仏殿」に平家物語を弾じていた平家琵琶がありました 
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(2011.12.12 撮影)