宇部市厚東の浄名寺には「馬塚」と「えんこ塚」がある。

昔、厚束のある男が馬を洗いに厚東川ヘ行き、川に馬を入れた。すると、エンコが出てきて、馬の尻に手をつっこんで肝を引き出して食べようとした。馬は驚いて駆けだし、浄名寺へ駆け込んだ。 エンコは、手が抜けないので馬にくっついたまま寺まできてしまい、とうとう捕えられてしまった。

エンコはどうしようもないと謝るので、和尚は、「寺の間の左側にえんこ塚を、右側に馬塚をつくるから、塚が苔むすまでいたずらをするな」と諭した。これをエンコが承知したので放されたが、それ以後、エンコのいたずらはなくなったという。浄名寺には、こうしてえんこ塚と馬塚が、今に苔むさずにある。


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浄名寺の門の手前に2つの塚があります。左がエンコ塚、右が馬塚だと思われます。

塚は苔むしていないのでエンコ(カッパ)がいたずらをすることはなさそうですが、特に「馬」がつく人は厚東川では肝をぬかれないように気をつけてくださいね(笑)。





*周防長門の伝説には「浄念寺」とありますが、「浄名寺」の誤りだと思います。浄念寺で話を伺ったところ、「うちにはそんな塚はありません!」と迷惑そうにいわれました。門の前を確認しましたが、塚はありませんでした。出版社、著者は出版前に確認してほしいですね。注意してくださいね。