ジャズクラブにおける、重箱の隅をつつくような些細な問題として必ず上位に上がると思われるのが、いわゆるBGM問題である。
重箱の隅をつつくような些細な問題というのは、一般のお客様の視点から考えてのことで、ジャズクラブのスタッフとすれば、些細な問題で済まされるものではまったくなく、時にはお店の運営方針にもかかわる重大な問題なのである。
なぜ問題なのか? ジャズクラブからの視点で考えてみよう。
その前に、すでにご存知のことと思うが、BGMとは、店内に静かに流れる音楽のことである。もちろん、ライブ・ステージ演奏中はBGMを停止し、演奏が終わるとBGMを流す。
最大の問題としては、選曲の問題がある。
ジャズの店なのに、アイドルソングなどジャズ以外の曲を流すことは言語道断である。フォークやロックも無理であろう。ジャズを聴きに来ているお客様を裏切る行為となってしまう。売上にも響くのである。
当然、BGMはジャズを流すのが正解である。
しかし、ジャズならなんでも良いとは限らないのである。その日のステージに合わせて、どんなタイプのお客様が来るのかを推測して、スタンダード中心が良いのか、それとも少しマニアックなのがいいのか、それともミュージシャンのCDをかけた方が良いのかを区別した方が良いのである。
スタンダード好きなお客様が多いのに、前衛的即興ジャズを流してもあまりしっくりこない。やっぱりスタンダードが多く流れたほうがいいのだ。でも、2~3曲はそういうのを挟んで、この店はこういうジャズも演りますよという主張をしたいところであるが、現実的にはスタッフにはそんな余裕は全く無い。
もう一つの問題として、時間の問題が挙げられる。
食事にふさわしいものか、ステージ後の余韻を味わうお酒が進む曲がいいのか。お店の雰囲気を読んで微妙にBGMを調整するのが理想である。といっても現実的にはそこまで細かくは行き届かない。気づいたスタッフが曲を取り替えするのである。
最悪なのは、BGM無しで放置してしまうことである。これはよくオーダーが重なったりしたときに起こりがちである。BGMが切れると、お店の雰囲気が冷たくなってしまう。取り残された感じになってしまう。日常に戻るというのか、冷静になるというのか。そうなると、帰られるお客様も増えてしまうので、売上にも響くのである。
隙間なくお客様にとって心地良い曲を静かに流すのがコツなのである。しかし、ここで最後の問題が残されている。
それは、閉店が近づいていることを暗にお客様に知らせるBGMである。ラストオーダーの時間が過ぎ、そろそろクローズにしていこうという時に流したい曲。なんとなく、そろそろ帰ろうかと思ってしまう曲。つまり、蛍の光的な曲。でも、そのものを流すわけにはいかない。ジャズの曲でそういう感じを演出する必要があるのである。
これはもう経験でしかない世界となってくる。何回となくBGMの試行錯誤を重ね、お客様の反応を研究した上で鉄板の曲を見つけていくのである。
とまあ、この様に、お客様にとって気にも留めないような細かいことにも、最大限の神経を振り絞っているのである。
といいつつも、BGMの曲が悪いというクレームを受けたりすることも多々あるのである。めげずに繰り返し前に進むことが肝要なのである。
BGMは、一筋縄ではいかない、筋の通った大問題なのである。
(ぽち店長)
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