4月15日発売のシングル『夕暮れは雨上がり』はある環境から旅立ち、新しい生活を始める者達への共感の歌として、切ない気持ちにいざなわれる。

モーニング娘。自体も道重さゆみ率いる'14体制から、道重卒業と12期加入を経ており、自らの気持ちが素直に投影された歌と表情を届けてくれる。

特にピアノを弾く素振りのあと控えめにサヨナラの手振りをする佐藤優樹の視線の先に道重がいるようで切ない。

そして2番終わりで間奏明けに歌う譜久村聖の歌声の柔らかで慰めるような表情にも心奪われる…と聴いていて、ハッと気付いた!



そのあと鞘師が歌いキーが半音上がる。しかし、これは始まりと同じDマイナー!

つまり、譜久村聖は半音低いC♯マイナーで歌っているのだ!

それが、あのとき醸し出される雰囲気のカラクリである。もちろん新リーダーとなった譜久村聖の心情が反映されていることもファクターのひとつである。

この半音低いキーは既に2番終わりの間奏の開始から始まっている。そのメロディーが両方の調にあるAから始まるところがニクいところだ。



さて、この手法を使ったモーニング娘。の曲が実は以前にある。

『彼と一緒にお店がしたい!』である。

道重卒業のコンサートでも名シーンを生み出した軽快なナンバーだが、2番終わり間奏明けで道重が歌う『パソコンの学校にいきたいな…』のフレーズは、ここまでの雰囲気と違う夢見心地の表情が伝わってくる。

実はこの部分は、間奏から半音低いE♭メジャーになっていて、道重ソロのあと半音上がり、開始と同じEメジャーとなる。幾分茫洋とした楽想となるE♭メジャーと明朗快活な響きのEメジャーを効果的に使っている。



両者とも同じ手法を使っているが、曲想が違うために効果も異なっている。

またこの手法の面白いところは、半音キーが上がることはポップミュージックの定番進行であるため、普通に何事もなく盛り上がりを演出出来ることである。

『彼と一緒にお店がしたい!』は『この地球の平和を本気で願ってるんだよ!』に続く形でシングルになっているが、『この地球…』のほうは終わりのキーは半音上がっている。両者を聴き比べると分かり易いだろう。

更に『この地球…』『彼と一緒に…』は高橋愛卒業シングルでもあり、この曲達にも未来への希望が歌われており、今回の『夕暮れは雨上がり』との相関を感じなくもない。


最後に、『夕暮れは雨上がり』のキーは前奏と後奏で変わらない。ということは、佐藤優樹の弾いているピアノの音も変わらない。彼女の道重さゆみと田中れいなへの想いは変わっていくのだろうか…

http://www.youtube.com/watch?v=SRUrbi7xeaU&sns=em