先週末から、右膝下に腫れ物が出来て痛み出した。

捻挫かな~…と思い様子を見ていたところ、悪化の一途を辿り、全く膝を折ることが出来ない状況になってしまった。

関節炎などの疑いもあったが、その場合は半月板を押すと沈むらしい。今回それは全くないので、虫刺されなどを疑い、皮膚科に行った。

結局、雑菌が入っている状況だったようだ。抗生剤と鎮痛剤を服用する。少しずつ快方に向かっている。

そんな中、新国立劇場へ赴かなければならなかったので、この機会にバリアフリーのありかたを体験しようと思い、電車での通勤を試みた。

右膝が曲げられない以外は健康状態は良いので以下の条件を付けて行動した。

階段は一切使わず、エスカレーターとエレベーターを使う、電車内では優先席を使い右足は伸ばした状態にする。服装からは、身体に不自由な面があることはわからない。自らハンディキャップをひけらかさない。

普段より歩きのペースは半分以上に落ちているので、出発は普段より30分早めた。


自宅の最寄り駅は、普段は歩道橋を上がり、改札を通り、階段を降りる。今回は一度道路を横断してエスカレーターのあるところへ向かった。道中にコンビニがあり、ガムを買う(笑)余裕のある障害者だな…改札を通るとエレベーターがある。無事にホームに着いた。

地下鉄への乗り換え駅は、最近駅に隣接する新しいビルも出来て、ハンディキャップに対する対策もなされているだろうと思っていた。駅を出るまでは、エレベーターを使い、問題はない。普段はすぐにある階段を降りる。…付いているエスカレーターは…上りだけだ…エレベーターは…100メートルほど先か…

細い路地をビッコで歩く。ここを夏や冬、ましてや雨天に歩くのは苦痛だな。下りエスカレーターとエレベーターを使い、見慣れた地下鉄改札の正面に出た。改札の先はエレベーター、ここは階段が多いので普段より速攻でホームに着く。これは帰りに問題になる箇所。

新国立劇場の最寄り駅は初台だ。近くまで来たら同じ現場に行く方々も近くに乗ってきた。駅に着き案内板を観察する僕を見て待ってくれていたが、先に行ってもらう。

階段にエスカレーターはある。だが、半分上り切り返した先の階段にはエスカレーターがない。エレベーターもこちら側にはない。

反対側のオペラシティに行くほうの改札の両側にはエレベーターがある。これを使うしかない。ホーム反対側へ歩く。1階まで上がり、ホームの長さと同じだけ地上を歩く。楽屋は地下なので1階降りる。階段脇のエスカレーターは…上り…。以前来たときにちょっと奥まったところにあるエレベーターを覚えていたのでそれを使い、到着!

かかった時間は普段と大差はなかった。しかしかなり歩かなくてはいけないことがわかった。

しかしこのことも帰りの地下鉄エレベーターでは、良いことに思えてきた。


なぜなら、僕が乗ろうとしたエレベーターにたくさんの人が集まってケージの到着を待っていたからだ。僕は残った僅かのスペースに足を引きながら辛うじて収まり、出るときは押されないように慌てて脇へよける始末。これなら使い勝手の悪いところにエレベーターを置いたほうが障害者には無理なく健常者に利用されることなく使えるだろう、と思ってしまった。


また、混雑するエスカレーターも歩きが遅いため、邪魔にならないよう、列の最後尾に並ぶしかない。

健常者は混雑時にはエスカレーターを使わず階段を積極的に使おう。

もちろん空いているときは使っても構わないと思う。問題は混雑時に利用すべき人が後回しになっていることだ。

また優先席でも、いろいろ体験出来た。というのは、右膝が動かないことを除けばただの大男の僕が優先席で2人分のスペースを使いふんぞり返っている(その体勢が足が痛くないのですが)姿を見る人々の視線はかなり痛い。女子高生はそうとは知らず右足ギリギリに座って来た。帰りの混雑時は荷物を近くに置かれ、隣の車両に向う人には邪魔な顔をされた。その度なんとか右足をすくめたり、出す方向を替えたりして対応した。

見た目だけでハンディキャップは判断できないことがある。以前、何気なく座っていたお姉さんが全盲だとしばらくして気づいた経験もあった。これはいろいろ考えさせられる。


また、膝に故障を抱える場合、階段を登ることのほうが易しく、降りるのは怖い。しかしエスカレーターが1本の場合、概ね上りになっている。結局利用するのは健常者が多く、そこからのクレームの反影と思われる。エレベーターも普及しているので、それを使って下さいというところだろう。


あとは細かいことだが、エスカレーターを降りてホームに着いたところには、車両案内掲示が見当たらないことが多かった。動きが取りにくい人には困ったことだ。もっとも車椅子の方は事前に調べて駅にも知らせてあるのだろうからいいのかもしれない。


立場を変えて施設を利用して色々なことが分かって、有益な怪我だった(笑)