変ニ長調の音階は開放弦も使えず、音の拠り所を探すのが難しい。

ヘマンによれば、開放弦と共鳴する共鳴音を依音として捉えてそこから音を導くなどの方法がある。

私もそれは伝えるのだが、よく考えたらコントラバスにはもっと簡単に音階の重要音を導く術があった。

以前解説したが、純正調でのシャープ記号での音の変化の度合はピタゴラス律でのフラット記号でのそれにほぼ等しくなる。

ということは、変ニ長調の主音DesはA線の5倍音Cisを基準にして良いと考えられる。同様に属音AsはE線の5倍音Gisが基準となる。

A線でCisを出す位置でフラジオレットが綺麗に出るポイントを押さえる。押さえてもフラジオレットとの音程が澄んでいれば、そこは純正調のCis、すなわち変ニ長調の主音Desであるという訳だ。

同様にE線で変ニ長調の属音Gisを導くことが出来る。

更に音階を続けてD線上のAsに至ったときには、その音はE線と共鳴していることになる。G線上においてのAsとDesにも同様のことが言える。つまり

DesとAsは共鳴音となっているときがある

ということだ。

同様のことはGesとCesでも起こる。つまり変ト長調でも応用が効き、音階中の下属音すら見出し易いことになる。

特にG線上での変ニ長調では主音・下属音・属音が開放弦と共鳴しているという、意外な事実に気付く。

楽器の共鳴をよく聞けば変ニ長調の修得は比較的易しくなると思われる。