明後日の芸大フィル定期で武満徹の「遠い呼び声の彼方へ」を演奏する。

練習を通して徐々に武満サウンドが染み出してくる。学生時代に武満サウンドに没入した私にとっては懐かしい響きでもある。

しかし巨大なオーケストラだ。これにヴァイオリンのソロが加わることが想定出来ないほどだ。

しかし、松原氏のヴァイオリン独奏は巨大なオーケストラに埋もれることなく聴こえてくる。もちろん武満徹のオーケストレーションはソロとのバランスを計算出来ていて、オーケストラの音塊の噴出はソロとの対話として聴かれるに過ぎない。

演奏していると短2度+完全5度の動きが根底にあるように感じられる。たぶんもう少し複雑なプロットがあるのだろう。

現代的な複雑さを内包しながらも、なまめかしい美しさを持つ、媚薬的な魅力を持つ武満徹の音世界は、これからも演奏されていくことだろう。

2016年には武満徹没後20年となる。

タケミツ・メモリアルで聴いた「ジェモー」はとても美しかった。