芸大奏楽堂にて、4つの日本の現代作品を演奏した。


1曲目はユニゾンによって文節が明解で、激しいソノリティの中に時折現れる叙情がドラマを作っていく。

2曲目は表情が細やかで、日本的な情緒を感じるものだった。


3曲目は、複雑なテクスチュアをさばかなければならず、難儀したが、作品の輪郭にはたどりつけたのではないかと思う。もう少し丁寧に演奏できれば、移り行く情景に聞き手を誘うことはできるだろう。ブーレーズやメシアンのような響きがところどころ現れていて、練習中少しほくそ笑んだ。

4曲目は、チェロのソロが圧巻であったので、他に言葉はいらない。日本的な音色を追及していた時代の古風な響きは、現代作品を聞き慣れた者にはある種のノスタルジーを感じられたのではないだろうか。



日本の作品にはやはり日本の風土や文化が感じられるものが気持ちはいい。近年北欧の作曲家の作品の充実が著しいが、やはり風土・文化に根差すものを、うまく取り込んでいるとおもう。風土・文化の持つ精神性というものこそ音楽で表出すべきものではないかと思った。