新曲のルーズショットバージョンがYouTubeで見られる。メンバーによるとつんく氏発信だそうだ。「流出(笑)」などと言っていた。



「よく動けるな」というくらいかなり密集した円形隊形や、5+1+5=11という数式が生きるシンメトリックなフォーメーションが印象的だ。動きも激しい。

楽曲は、ハードなビートを下地に、様々なシーンが併置されて、簡単には構造を把握できない。「サビがたくさん」ともいえる。歌うリズムもポリリズムに近い。

ワクテカと似たひとり1音歌い継ぎのシーンでは、ワクテカでは半音下降だったが、今回は上昇している。ここでのダンスは機械に組み込まれた歯車のイレギュラーな動きのようで視覚を楽しませる。

小田さくらの太い声が、曲の中程で突然響き渡る。神のお告げのような印象。エコーはかかっているが、加工したかと思ってしまうような声質だ。既に音色を操作する術を考えて歌っている、おそるべし!

鞘師里保はこれとは全く別方向のポップな歌い方を操る。自身でも言っていたが、声のトーンが少し変わったと思われる。上に抜け過ぎて軽すぎるところがなくなった印象。

そもそもこの2人は中学生!もちろん伸び盛りではあるが、大人びている。

鞘師と石田の間奏での空手の組み手かと思うような動きも速い!前回ツアーで2人で踊った成果が含まれる気がするシンクロ感。

ほかのメンバーもそれぞれ大事なパートを任されている。10期も歌割が多くなって、前に出るところも多い。9期は全体像を見据えたパフォーマンスでまとまりを作りだしている。

今回の曲は、田中れいなの卒業ソングという位置づけがあるだろう。歌詞にもれいなの個性が反映されているように感じる。しかし田中の歌割は多くはない。思えば後藤真希の卒業ソング「Do it Now」も後藤フューチャーというよりは、その先のグループ像を予感させるものだった。安倍なつみ「愛あらばIT'S ALL RIGHT」、高橋愛「この地球の平和を本気で願ってるんだよ」も同様のコンセプトがあるだろう。

モーニング娘。本隊にとっては、加入と卒業は形態の変化でしかない、という冷静な姿勢が卒業ソングからは感じられる。ファンにとってはそれが少し歯痒さを感じるかもしれない。しかしモーニング娘。の楽曲は過去・現在・未来の全方位を見渡している。でなければ歌い継ぐことも適わないだろう。


「恋愛ハンター」に近い「強さ」を感じせる曲だと思う。MVはどんなものになるのだろうか。