アナウンサーを目指し始めたのは大学3年生になってすぐ。アナウンサー試験は他の就活よりも早い時期から始まるため、目指す人はもっと早くに始めている場合が多い。少し遅めのスタートダッシュだ。そして一昨日は5月から通い始めたアナウンサースクールのレッスン最終日だった。アナウンサー試験にもあるカメラテストを実際にした。緊張しやすい私は口が渇いた。そして精度のいいマイクが口の渇きを全て拾いベチャベチャという音まで録音されていた。

鼻濁音や、ラ行、私の苦手なこと、今まで教えてもらったことを一生懸命思い出すと原稿を持つ手がさらに震えた。

一度のレッスンが5時間。その日は最後だったため同じクラスの受講生たちと、気持ちを高めるために帰りにテレビ局の前に行きビルを見上げた。私以外のみんなは、次のコースも申し込み済みで、焦りや不安を感じながら隣に立っていた。

そして帰宅したのは夜の23時過ぎごろ。私は、何が悲しいのかも分からないが涙が止まらなかった。何かがぽっかりと空いたような、そうではないような…今までに経験したことのない気持ちになった。いつ寝たのかも分からない。翌朝8時、学校に行くためのアラームが鳴った。朝に強い私はいつもだったらすぐに起き上がる。そして8時5分の2回目のアラームが鳴る頃には歯を磨いている。しかし、その日は起き上がることができなかった。アラームの音を聞くと心がキューーと痛くなった。そしてそのまま1時間以上天井を見続けた。でも学校に行かなくちゃ。重い身体を一生懸命起こした。昨夜いっぱい泣いたからだろうか、視界がフワフワとしていて頭もまるでお酒に酔っ払っているような感覚だった。そしてまた涙が止まらなくなった。今まで一度も学校をサボったことがない私は、シャワーを浴びないままでもいいから頑張って行こうとした。でも無理だった。暗い玄関に座り込み動けなかった。

そんな時母親から電話が入った。なんだか出たくなかった。しかし何度もなるからスピーカーにして電話を取り、何も言わないまま床にスマホを置いた。泣いていることに気づいた母親は、学校の診療所に電話しなさいと言ってきた。私はそのまま電話を切り、30分くらいだろうか何をしたらいいのかも分からず玄関に座り込んでいた。時計を見るといつの間にか家を出ても間に合わない時間になっていた。ベッドに戻り診療所に電話をした。電話をしたからには何か話さなければいけない、電話の向こうから学籍番号と名前を聞いてくる声がした。確か答える前だっただろう「深呼吸して、吸って吐いて…」と言われて初めて自分が呼吸をちゃんとできていないことに気づいた。そのあとの電話のことはよく覚えていない。病院を紹介されたことくらいしか…。自分が精神科医にかかるのは信じられないし、そんな状況だとは信じ難い。普段福祉の勉強をしているためよく、事例で取り上げられている病院。まさか私がそこに行く訳がない。心の中で今でも葛藤している。就活はまだ始まったばかり、メンタルが少しポキッとなった今この時から日記として記録することにした。