フリーロール・トーナメントとは、ポーカールームのプロモーションなどで開催される
参加費無料のトーナメントのことです。
フリーロール・トーナメントは通常のトーナメントと比較して以下のような特徴があります。
・ 身銭を切っていないので、大半のプレーヤーが適当なプレイをする
・ 参加人数が極端に多い (数千人~ 一万人超える場合も)
・ さらに入賞ラインも厳しい (上位5~10%)
ゆえに、上記の特徴に応じたプレイの仕方をする必要があります。
☆極力、分散が大きくなるようにプレイする (ハイリスク・ハイリターンなプレ-)
とにかく入賞のラインが厳しいので、エッジがあると思えば積極的にポットにチップを入れて
スタックを増やし続けていく必要があります。できるだけリスクを抑えて生き残ろうという考えは
得策ではありません。どちらにせよ極めてラッキーでなければ、フリーロールで意味のある額を
獲得するのは困難なので、いつ飛んでもいい覚悟でリスクを取ってプレーすることが重要です。
ただ、勘違いしてほしくないのは、ギャンブルするのは「エッジがある」場合ということです。
初手から全部オールインしてどこまでダブルアップできるかに賭けたり、クズ手で他のプレーヤーの
オールインをコールしてラッキーを引きにいくようなプレ-は長期的に見て期待値マイナスです。
では、どのようなプレ-が自らのエッジを活かして、なおかつ分散の大きいプレイとなるのでしょうか。
次で、例を挙げながら説明します。
A. トーナメント序盤、プリフロップで強いハンドでオーバーベットオールイン
開始スタック1000、ブラインド10/20でポケット10sが配られました。
ここでは、3BB程度の標準的なレイズをしたり相手のレイズにコ-ルしたりするよりも
一気にオールインしてしまいましょう。
普通にレイズしてしまうと、何人ものプレーヤーがいろいろな手でコールしてくるでしょう。
大抵の場合、ボードにオーバーカードが落ちて、自分の立ち位置がわからなくなります。
ボードがローカードでも、多くのプレーヤーがいるので、75でツーペアを作られたりすることも
あるかもしれません。結局セットを引いたときにしか喜んでオールインできませんが、
セットはそんなに頻繁に引けるものではありません。(約8回に1回)
一方でポケット10sは9人テーブルでもほとんどの場合プリフロップでベストハンドです。
(JJ、QQ、KK、AAにしかエクイティで負けていない)
自分の持っているハンドがベストハンドである確率が十分にあるのであれば、
そのエッジを最大限に引きのばしてしまいましょう。
フリーロールでは多くのプレーヤーが意味もなくチップを投げ込んでくれるので (特に序盤)、
A9、55、はたまたQ7などありとあらゆるハンドでコールしてくれます。
もちろん、通常のレイズをしていればコールしてくれたであろう分の悪いハンドがフォールド
してしまうこともありますが、特にビッグスタックを築く必要のあるフリーロールでは、
200の小さいポットを何回か取るよりは、一気にダブルアップする価値のほうがはるかに
高いです。オールインして相手に引かれたらそれはそれ、どのみち運がなくて飛んでしまう
なら無駄な時間をかけずに済んだと思いましょう。
B. リンパーのいいようにさせない
スタック2400、ブラインド100/200、あなたはスモールブラインドでKJが配られました。
ミドルポジションから一人リンパーが入ってきました。
リンパーは70%のハンドで参加していて、プリフロップでのレイズ率は10パーセントです。
KJ はプレミアムハンドとは言い難いハンドです。慎重を期してスモールブラインドから
コールに留めると、どのようなことが起こるでしょうか。
フロップはA 8 6 。自分のハンドにとってこれといったドローはありません。
チェックをすると、BBもチェック、リンパーは200のミニマムベットを打ってきました。
Aを持っているかもしれないし、ミドルカードのペアかドローかもしれないし、
QJなどでコンティニューエーションベット(CB)のように打っているだけかも知れません。
相手が100%のハンドでベットしてくるなら、ここで自分のハンドがベストハンドで
ある可能性は相当程度ありますが、自分の後ろにBBのプレーヤーもいて
KJでついていってもショウダウンで勝ったり、ターン・リバーでスチールしたりするのは
難しそうです。
仮に自分からベットしたりレイズをしたとしても、Aヒットはもちろん、ミドルカードのペアも
おろせるかどうか定かではありません。
結局、リンパーは70パーセントの参加率という大したことのないハンドレンジにも関わらず、
最小のベットでアンティも含めた結構な額のデッドマネーを獲得することに成功しました。
もしあなたがこの場面でこのようなプレーをしているとしたら、それはチップを得る機会を
みすみす逃しています。この場面では、プリフロップでオールインしてしまうのが正解でしょう。
なぜなら、KJ はプレミアムハンドではなくとも、リンパーのハンドレンジに対しては
十分「エッジがある」(分がいい)からです。
相手がフォールドすれば、それはそれでOK。
A8、44などのハンドにコールされても、さしてエクイティ的に不利ではありません。
たまにAJやKQなどのドミネイトされているハンドでコールされることもあるでしょうが、
得られるリターンを考えれば、許容すべきリスクと言えるでしょう。
通常のトーナメントであれば、自分のハンドより悪いハンドにコールされる可能性は
低いですが、フリーロールではK10、J10などのドミネイトしているハンドでコールしてくれる
可能性もそれなりにあるので、なおさらです。
上記のような場面でも飛ぶリスクを抑えるより、自らのハンドのエッジをできる限り
引きのばしていくことが、特にフリーロールでは重要になります。
☆その他のポイント
・ 厚いバリューベットをする
フリーロールではおりない/おりられないプレーヤーが非常に多いです。
トップペア+グッドキッカー程度であればターンやリバーでフラッシュ目があろうが
ミドルカードがペアになろうが、構わずバリューベットをしていきましょう。
もちろん相手に強いハンドを持たれていることもありますが、
リスクとリターンの関係を考えると割りに合うと言えます。
また、通常よりもバリューベッドの額を大きくすることも重要です。
必要に応じて、ポットサイズベット、オーバーベットを取り入れることが有効です。
・ ブラフは控える
上記のポイントと対になりますが、おりない/おりられないプレーヤーに
ブラフをしても意味はありません。
ヘッズアップのドライボードでCBを打つぐらいはOKですが、
AKで、AAを主張してダブル/トリプルバレルを打ったり、マルチウェイポットでノーエクイティで
スチールしにいこうとしたりしてもまずうまくいきません。
素直にハンドを作りにいくか、プリフロップのエッジで勝負するようにしましょう。
ただ、エクイティのあるドローであれば、場合によってはセミブラフでフォールドエクイティを
発生させれば期待値プラスになることもあるでしょう。
・ 入賞することを期待しない
上に書いたように、フリーロールは参加人数が多い上に入賞ラインが厳しく、
いくら最善の判断をしようとかなりのツキが味方しないと、まとまった額を獲得する
ことはできません。飛んでもともとぐらいの気持ちで、片手間程度でいいから
地道に数をこなすのが、結果を手に入れる一番の近道でしょう。
以上、フリーロール・トーナメントの戦い方でした。