彼のファッションですぐに思い浮かぶのは、
チェックのシャツ、コーデュロイやタック入りの太目チノパン、ツィードのジャケット、ワークっぽい革靴、ウェリントンタイプのセルフレーム眼鏡…

全体的にいつも茶色っぽい。

特に、彼のアイコンともいえる
チェックシャツのインナーには、
丸首のTシャツ。
しかも白ではなく、どこまでも茶系だ。

パッと見、おじいちゃんである…

オタクにも見える…
おそらくこのコーディネートを見て、
カッコいい
と思う人は少ないどころか、
ダサっ
一笑に付す人の方が多いのではないか。

一般的に女子ウケは絶対しないはずだ。
婚活や合コンには要注意である。

しかし…

ファッションの奥深いところは、
これも一つのお洒落な着こなしである点だ。
洗練されたキメキメのファッションだけが
お洒落だとは限らないのである。

ナード・スタイル” って、
ご存知だろうか?

ナード(nerd)とは、
特定分野にのめり込んだ
その分野の知識が豊富な人や、
文科系サークルに属する人…
要するに、オタクとか、冴えないとか、
ダサいなどといった意味合いがある。

でも、ファッションにおけるナードとは、
敢えて そういう人達に見えるよう
ダサい印象をもたせたスタイルのこと。
大きめの眼鏡もその代表例である。

しかし、ここには大きな落とし穴がある。
ただダサいだけではNGなのだ。
あくまで ダサくキメる❗
ことがポイントである。

この ダサ格好いい❗というのは
非常に難度が高い。
本物の洒落者だけに許された自己主張である。一歩間違うと笑い者になるからだ。

そしてここ数年、
にわかに注目を浴びている
ナード・スタイルのお手本となっているのが
ウディ・アレンなのである。

前述のように彼のファッションは、
おじいちゃんの家の
クローゼットの中にあるような、
古めかしいアイテムを
ファッションに取り入れている。
きっとラルフ・ローレンあたりだろう。

Tシャツにジーンズ、スニーカーではなく、
ジャケットを羽織り、レザーシューズを履いているインテリ人っぽさがポイントである。
しかも、それらのアイテムを
オーバーサイズで着崩しているのが特徴だ。

このサイズ感、丈感、幅感は、
本人が意識してるかどうか分からないが、
絶妙なバランスの上に成り立っている。


ここで、古今東西の“ダサ格好いい❗”を
体現した好例をもう一人挙げてみよう。
それは90年代のロックシーンに
革命を起こしたロックバンド「ニルヴァーナ」のカート・コバーンである。


彼のパジャマ・スタイルは、
ファッションシーンにも影響を与え、
その後のパリコレにも登場したほどである。

朝のゴミ捨て場では、
いまだにその影響を受けた人を
よく見かける…(冗談ですよ、冗談!)

これはやはり、
“カリスマ”カート・コバーンだからこそ
成せる業だろう。