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here-after

日常からいちまいめくれた短いお話

ベリーがたくさんのったタルトを食べる

イチゴ
ブルーベリー
ラズベリー
ブラックベリー
赤スグリ
黒スグリ

ベリーの酸味を、チーズクリームがまろやかに受けとめ、クッキーの甘みと香ばしさの中に、ほのかにシナモンを感じる




外に出ると、淡い雲がかかるみずいろの空
陽射しがあたたかい




同じ動きをする散歩中の二匹のマルチーズ

肩車されている子供

手触りの良いカーディガン

ストローの帽子

冷たい風

ガーリックとオリーブオイルの匂い

八重桜



美しい四月

さよならの時期が春なのは救いなのかもしれない


ひたひたと最後の時がやってきて
彼は去っていく


赤スグリを噛んだときのように
ぱちんと酸っぱさが広がる



休日なのに、もうひとりで帰らなければならない


タルトは甘くて、酸っぱくて美味しかったな

楽しいことばかりあったような気がして
電車の中で少しだけ泣けた



モスコミュールを飲み、小説を読み、
春キャベツと鶏を煮込む

ひじきと厚揚げも鍋いっぱいにふっくらと炊く


人間になる訓練をしてるみたいに、

淡々と鍋を火にかける