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here-after

日常からいちまいめくれた短いお話

とろとろの秋鮭

よく切れそうな小刀みたいにぴかぴかの秋刀魚

ぽってりと傘をひらく木の子たち

翡翠のように輝くロザリオビアンコ


空が高くなった土曜日のスーパーマーケットにいっせいに秋が並ぶ


焼いた秋刀魚におろしとすだち

秋鮭と木の子をバター醤油でホイル焼き

いやいや、クリームで煮てもいいなぁ


秋は美味しい



午前中に郵便局で荷物を出し、

カフェでコーヒーを飲みながら、

しっかりと対峙しないと文字が頭に入ってこない本を読む。

心を動かされる文章に付箋を貼り、
メモを取る。

自分の体験と、本の内容とをできるだけ繋ぎ込み、
体験やその時の感情に言葉を与え、
反省したり、今度はこうしようと考える。

3年後、5年後の自分に想いを馳せる。


本に栞を挟み、
ぬるくなったコーヒーを飲み干す。


昼下がりの夕食の買い物は楽しい。


平日仕事後の買物と食事の支度はまるで闘い。
食事をつくることがすごく理不尽なことのようにに感じてしまう。


料理は、ほんとうは好きなのに。


陸橋を上ると、夕日が西の空に傾いている。
夏に比べて優しくなった陽射しは、雲を淡く黄金色に染めている。


しあわせだなぁ。


不意に柔らかい気持ちが胸に湧き上がってくる。


しあわせって、さみしいな。


そして、何処からか漏れていく。



帰ったら、新米を洗ってゆっくり水を吸わせよう。


陸橋を降りると、
夕日はビルに隠れて見えなくなった。