19日は4ヵ月ぶりの受診日だった。

 

いつものように受診日が近づくと、今度こそダメなんじゃないかと不安な気持ちでいっぱいになり、週3回ちゃんと走っていたのに走る気にならなくなっていた。

 

血液検査の結果が出るのに1時間半くらいかかり、名前を呼ばれて診察室に。

 

主治医はいつものように 「どうですか~?」 と声をかけてくれたが目を合わせることなく、 「今日の結果はPSA 0.003 でした」 と。

 

いつもは測定感度以下だったのに、とうとう数値が上がりだしてしまった。

 

「このまま増えたらホルモン薬の内服と注射ですか?」 と尋ねたが、

「様子を見ますから、次回は4か月後です」 と返事。

 

「ありがとうございました」 とすぐに診察室を出て、しばらく椅子に座って動けなかった。

 

2019年8月に手術を受けたがPSAは下がりきらずに再上昇。

2020年2月からホルモン療法を開始され、8月からは35回の放射線治療も受けた。

おかげでPSAは測定感度以下に下がり、この2年はその状態が続いていた。

放射線科の先生は、放射線治療で完治も可能と言ってくれ、信じる努力をしていたが、やっぱり完治はしていなかったようだ。

 

手術と放射線治療以外に前立腺癌を完治させる方法はない。

 

今後PSAがもっと上がれば、ホルモン療法開始。

ホルモン療法はそのうち効かなくなるので、他の薬や抗癌剤に変更されるだろうが、効果は期待できず全身転移で苦しんで死ぬ。

 

あとどれくらい無症状でいられるだろうか?

あとどれくらい仕事が出来るだろうか?

 

大変な病気と闘いながら生きてくれている子供たちに、少しでも多くお金を残してあげたい。

苦労をさせてしまった妻に、一生困らないくらいのお金を残してあげたかった。

 

 

 

 

子供たちが元気で、僕も元気に走っていた頃は、70歳まで生きればいいと、妻に話していた。

みっともなく老いて家族に迷惑をかけたくなかった。

あとは子供たちが妻の面倒を見てくれるだろうし。

 

妻は何を馬鹿なことをと言っていた。

あなたは真面目だから認知症になりやすいかもね。

おまけにどこにでも走って行ける脚を持ってるから、とんでもない所で迷子になるんじゃないの。

それが心配だって。

 

 

 

恐らく70歳までは生きられないだろう。

手術と放射線治療の後遺症以外、まだ何も症状は無いけど、走る気力は出てこないかもしれない。

きのうは天気が良かったので、お日様に誘われて約1時間ウォーキングはできた。

仕事後に運動しないで帰宅すると酒量が増えてしまうので、走れなくてもウォーキングはしなきゃ。

体を動かした方が精神的にも安定するだろう。

 

前立腺癌以外で体調を崩すようなことはもってのほか。

少しでも長く働ける体を維持しなきゃ。

 

 

妻には受診日のことは話してないし、受診日だったことも気づいてないと思うので、まだ秘密にしておこう。

 

何か理由をつけて、ずっと放置してた家の中の要らない物の処分を始めよう。