その場でしか得ることの出来ない音、色、空気が好きで。

胸や目にしっかり焼き付けようと必死になってた時期があった。

可能な限りのライブやイベントに参戦していた気がする

忘れないようにとありきたりなノートに日時とチケットとセトリを書いてアルバムみたいにして残して

たまに見ては、その時の記憶を思い出してた気がする。

 

物事に始まりがあるなら終わりが何時かはやってくる。

頭では理解してたけれど、やっぱり心はどうしてもついてこれなくて

訪れてしまった最後が寂しくて、辛くて、心の中にぽっかり穴があいてしまって

追い打ちをかけるように、少しずつ色褪せていく思い出に「容赦ないのね」と愚痴を零したけれど

内心はすごく怖くて、失いたくない気持ちでいっぱいだった。

 

 

 

そうして取ったのが、「聴かない」ことと「見ない」ことだった。

 

 

 

酷い選択の仕方をしたと今でも思う。

他の物事に置き換えたら、きっと忘れないように「聞いた」し、「見ていた」。

でも、この時の私は受けれ入れらなくて蓋をすることしかできなかった。

そうすることでしか、恐怖を拭うことができなかった。

 

 

そうして月日が流れて、私は「聴かない」ことにも「見ない」ことにもすっかり慣れてしまった。

 

そんな時に、今日のライブを知った。

去年の12月くらいのことだった。

好きなアーティストさん主催のライブなだけに行かないという選択肢は無かった。

 

このご時世のことだから、自粛しなさいって言われるのかもしれないけれど。

開催されたことに感謝して、参戦できることをうれしく思った。

 

ライブが始まって、色んなバントの曲やMCを聴いて終盤が近づいてきた時

それはあまりにも突然やってきた。

 

主催者さんが話し始めた昔のバントの名前が昔必死になっていたバントで、

「聴かなか」った曲のタイトルがコールされて、イントロが流れてきたのだ。

みるみる視界が滲んで

紡がれる旋律の1音1音に昔の思い出が一気に蘇ってきて

気が付いたらずっと泣いてた。

(昔のバンドが解散したのが今から4年前のことという事実が衝撃的だったみたいで、それも衝撃的だった)

二度と生で聞けると思ってなかったから嬉しさの方が多かったのかもしれない。

けれどそれと同じくらい、「聴かない」選択をして蓋をしたことに酷く後悔した。

 

何事もきっかけが必要なんだよって。

誰かが言ってた。

 

私はそのきっかけを今日もらったから

私はまた「聴く」こと「見る」ことを始めようと思う。

 

好きなバンドの好きな曲だから、今度は蓋をしないでいたいな。