千―長夜の契 (花丸コミックス・プレミアム)/白泉社

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千 螺旋の錠 (花丸コミックス・プレミアム)/白泉社

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ずっと読みたかたったけど、片手間に読みたくなかったのであたためておいた作品。
岡田屋鉄蔵さんについて。絵はすごく仕上がっているけど、デビューは割と最近で、今はBLより、青年誌で時代劇冒険譚を2作連載しています。作風だけでは女性とは思えませんが、女性です。
千 長夜の契り、螺旋の錠も時代劇ファンタジーです。
まず、この方の描く男性がセクシー!!千も草薙もタイプは違うけど、色っぽい。私の中ではバカボンドに引けをとらないかっこよさ。ていうか、まだバカボンドの方がキラキラしてるし!
岡田屋さんの描くような絵柄がセクシーの部類に入らない人は、読んでもいまいちかもしれません。
だいたいのあらすじ
舞台は架空の国、時代だけどおそらくモデルは江戸時代。キャラの服装は、普通の着物の時もおおいけど、カムイ伝に出てくるキャラみたいな服も結構出てくる。山賊とか海賊とか。
千との「契約」とは、願いを叶えるために魂を千に差し出すこと。契約が成就すれば、契約者は他の人間の記憶から存在を消され、生きた証もなくなり、来世に生まれ変わることもできない。
千は、契約した者の魂を食っていきている。それが、千に与えられた罰なのだそう。(千が何年生きているのか、千の罪は何なのかはまだ明かされていない)
長年生きているせいか体の感覚が鈍く、痛覚意外は感覚があまりない。草薙や、「仕事」のために、誰かと体の関係を持つことがあるが、性的快感もおそらくない。にも関わらず草薙とは必要がなくても関係を持とうとしたりする。体は何をしても再生し、死なない。
契約を結ぶと、契約者を象徴する刺青が背中に浮き上がる。それがまたキレイ!成就すると刺青は消える。
草薙は有名な剣豪。1話目で、権力者に嵌められそうになっていたところを千に助けられ、力を貸す。それ以降、千に興味を持ち寝食を共にする。体の関係アリ。一般人は気づかない千の一面に気づいたりする。武士らしく実直で優しく、物静か。
千のことを詮索したり干渉したりはしないが、一生一緒にいられなくても、自分が生きている間は千の役に立ちたい。寂しい思いをさせたくないと思っている。
話は1話ごとのオムニバスで、登場人物は毎回変わる。岡田屋さんの特徴は、相手のどこに惚れるとか、ここを好きになるというレベルではなくて、「魂が惹かれあう」関係だということ。
そんなものどこにも言葉に書いていないけど、巧みな表現力と、画力とストーリーがあますところなくそれを伝えています。
お互いが唯一無二の存在で、欠けてはならないもの。そんな伴侶を見つけながら、結ばれず、引き裂かれ、相手の身を案じる登場人物たち
千の契約者はみな、己のためじゃなく、大切な人のために自分の魂を捧げる。たとえ、その人に忘れられ、来世で会うことも叶わなくても、今生でその人を守りたい。そんな人間ばかりなんです。
契約の内容は時に復讐だったりしますが、そこに嫌な感じを受けることはありません。わが身を犠牲にしてもいいほどの情念に圧倒されるばかりです。
契約が成就すれば、契約者は死んでしまうので恋が叶うことはありませんが、契約者自身の魂は救われます。
現実的に考えれば、気持ちを切り替えて人生前向きにいこうよ!と言いたいところではありますが、
自分の魂も、未来も捨てて、全てを誰かに捧げる愛の深さ、そうせずにいられない深い哀しみに、どんな前向きな言葉も通用しないように思います。
電子サイトのレビューで、「男女ものでもいいのでは?」という評もありましたが、話に出てくる男性は、みんな体を張って、命がけで相手を守ろうとしている。守り、守られる関係ではなくて、どちらも相手を守る強さと覚悟を持っているんですね。きっと、どっちが契約者になっても不自然じゃない。
男性特有の気質というか、女性にはない感じのキャラが多いので、まぁ、そんな男気あふれる女性もいなくはないだろうけど、男女だと逆に不自然に見えてしまうとおもいます。
だからねー、BLだけど、このまま青年誌に載せても割といけるんじゃないかと思うんですけどねー。
とにかくね、表現力が素晴らしいんですよ!相手への想い、戸惑い、哀しみ、怒り、、言葉で書かなくても画面からあふれ出てくる感じ。
漫画読んでるっていうより、映画を観ているような感じ。
もう超名作!
もっと、たくさんの人に読んでもらいたい!そして、認知度が上がったら、鉄蔵さん、BLに帰ってきて~
続きを描いて~




