一度も着ていない部屋着があります。
ガーリーな白いワンピースです。アクセントに、ピンクのリボンとレースが付いています。
可愛すぎて、着ることを躊躇していたのですが、着ないのももったいない……と、着てみました。

ついでに、ハートのリースを花冠として、頭に乗せてみました。

白いフリフリのワンピースに、花冠をかぶって、メルヘンな世界に移動します!

エグランティアを呼べばよかったかしら。今からでも、来てくれるかしら? 三時のお茶会には、間に合いそうね。

私は窓を開けて、声を出そうとしました。運が良ければ、風がエグランティアに声を届けてくれます。

『懐かしい格好をしているね』

頭に響くような声で、話しかけられました。
下を見ると、ルベリウス様がこちらを見ています。彼はすーっと移動してきて、私の目の前に浮かびました。儚げで、とても綺麗な方です。

「こんにちは。この格好が、懐かしいですか?」

この服は初めて着たのに。このリースも、買ったばかりのものです。

「君は子供の頃、よくそんな格好をしていたよ。そうしていると、変わらないな」

ちょっと恥ずかしい気もします。でも、これが私なのです。ルベリウス様に隠し事もできませんし。

「エグランティアなら、ここへ向かっているよ。すぐに来るだろう。お茶会に、私も参加させてもらえるかな?」
「もちろんです。すぐに用意しますね」

突然のお茶会ですが、お菓子は色々あるので大丈夫。
お茶は何にしましょうか。今日はアイスティーにしようかしら。

いつもとは違う格好──特に花冠をかぶっていることに、とても楽しい気分になっています。